*終焉〜Bad End〜 ページ31
「大切なもん守られへん男は、Aちゃんには相応しないねん」
私がしっかりと、離れないように掴んだはずの手は丸ちゃんのそれにいとも簡単にほどかれてしまって。
「私は丸ちゃんならなんだっていい…」
「Aちゃんはホンマに優しいなぁ」
自由になった私の手は力なく膝の上に落ちるけど、丸ちゃんの手は私の頭にまたふんわりと乗っていて。
「神様はいじわるやな」
そう呟いて目を細めて私を見つめる切れ長の目はとても優しくて。
これ以上わがままは言えない。
なんて、高校生の当てにならない直感がそう言ってて。
「…うん。もっと、別のタイミングで出会えてたら…」
「お嫁さんに貰えてたかもしらんのになぁ?」
丸ちゃんはそう言ってまた楽しそうに目を細めるから、赤くなった顔を正面から見られながらもう、と短い返事をすることしか出来ない。
・
「ねぇ、東京に着くまでギュッてしてて?」
それから、私が口を開いたのは数分後。
赤くなった顔を、自ら悪化させる言葉を丸ちゃんに伝えると、丸ちゃんの顔も私とおそろいに染まる。
そんなことでも、少しだけ嬉しかったり。
「ええよ」
と、私を少しだけ強引に引き寄せて__お尻でずったから、ちょっとだけ摩擦で痛かった__ぎゅっと、力いっぱい抱きしめてくれる丸ちゃんの身体は熱くて。
「丸ちゃん…」
「隆平、」
「隆平…?」
「ん、最後の瞬間まではそう呼んで?」
なんて、丸ちゃん…隆平のお願いを少しだけ恥ずかしながらも無抵抗に呼んだのは、残された時間があともう少しだから。
きっと、この帰りのバスに乗り込む前なら戸惑っていただろう。
そんな時間さえ、今はもったいないと感じる。
「隆平、」
「ん…」
抱き寄せられて、さっきよりも近づいた顔は見あげればすぐそこにあって。
隆平が返事をするのと同時に、私は彼の唇に触れるだけのキスをする。
「…っ」
数秒だけ触れて、離れようとすると今度は隆平が私の肩を抱いて離してくれない。
ゆっくりと隆平が入ってくる感覚を、忘れないように精一杯頭に焼付けながらキスをする。
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櫻華(さくら)(プロフ) - さらさん» コメントありがとうございます!そう言ってくださると頑張って書いた甲斐があります(^^)応援もありがとうございます!ぜひ、楽しんでいただけたら嬉しいです! (2019年3月1日 22時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
さら - 読み終わって、本当に、本当に大好きな作品です!新作も頑張ってください!応援してます!(^○^) (2019年3月1日 21時) (レス) id: 774dc9dc2f (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 櫻華(さくら)さん» はいw楽しみにしてますー。 (2019年1月19日 16時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(さくら)(プロフ) - 世現身(。。)さん» ありがとうございます!完結まで走り抜けますので、ぜひ楽しんで読んでいただけると嬉しいです(´˘`*) (2019年1月18日 17時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 続編おめです!これからも応援します!!(。。)♭ グッ (2019年1月17日 21時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2019年1月14日 13時