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二人分の荷物が詰まっているバッグを両手に抱えている丸ちゃんは歩きにくそうで。
「丸ちゃん、1つ荷物持つよ」
と、後ろから話しかけるー2人で並んで歩くには狭いように感じる階段を、丸ちゃんが荷物を持って降りているから、隣には行けないーと、丸ちゃんは顔をこちらに向けず、声だけで返事をする。
「大丈夫やって」
それは、別に私のそのセリフに呆れているわけだからということではなくて。
滑りやすくなっている地面で、自分も荷物も滑ってしまわないようにだということは分かっているけど、なんだか寂しくて。
「…わっ」
大丈夫と言った丸ちゃんの、小さい方のバッグを無理矢理奪い取る。
スっと、後ろから抜きとったから丸ちゃんは驚いていて。
歩くのをやめて振り返ったその顔は驚くほど間抜けに見えて笑ってしまう。
「持たせて」
「どうしてもって言うなら…」
ええけど、キツくなったら言いや。と眉を下げて少しだけ困ったような顔をする丸ちゃんはやっぱり優しくて。
「でも一言掛けてくれたら良かったんに」
「言ったじゃん」
「大丈夫て言うたやろ?」
「大丈夫じゃないでしょ…」
丸ちゃんから奪い取った荷物はかなり重たかった。
何が入っているのかはわからないけど、機械とかそんな感じの重さ。
これを両手にーそれも、丸ちゃんが持っているもうひとつの分は私が奪ったものよりも大きくて重そうー抱えて階段を降りていたなんて。
丸ちゃんが成人した男性だということをふと、思い知らされる。
女子高生とは圧倒的に違うその力に、少しだけキュンとする。
何故こうも、男女の作りは違うのだろうか?
私も、丸ちゃんみたいに強かったら今頃どうなってたんだろう。
「Aちゃん?」
考えてたこと全部、口に出てるで。
と、また歩き出した丸ちゃんは私のほうを見ずにそう笑う。
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櫻華(さくら)(プロフ) - さらさん» コメントありがとうございます!そう言ってくださると頑張って書いた甲斐があります(^^)応援もありがとうございます!ぜひ、楽しんでいただけたら嬉しいです! (2019年3月1日 22時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
さら - 読み終わって、本当に、本当に大好きな作品です!新作も頑張ってください!応援してます!(^○^) (2019年3月1日 21時) (レス) id: 774dc9dc2f (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 櫻華(さくら)さん» はいw楽しみにしてますー。 (2019年1月19日 16時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(さくら)(プロフ) - 世現身(。。)さん» ありがとうございます!完結まで走り抜けますので、ぜひ楽しんで読んでいただけると嬉しいです(´˘`*) (2019年1月18日 17時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 続編おめです!これからも応援します!!(。。)♭ グッ (2019年1月17日 21時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2019年1月14日 13時