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誰にも見せられないこのしるし達は全てさらけ出して着替えるには少しだけ恥ずかしくて、くるりと部屋の中を見回してみてもほとんと人がいなくて安心する。
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ウェアを脱ぐのは簡単で、綺麗に畳んで返却ボックスに返して外に出ると既に丸ちゃんは立っていて。
どこで買ったのか、両手におしることコンポタージュを握りしめている姿はなんだか可愛い。
「待たせた?」
「ううん、待ってへん」
スープ買ってきてたから、ちょうどええ感じやった。と私に気を使わせないようにさりげなく付け足してくるのは丸ちゃんの優しさで。
「どっちがええ?」
持っていた両方の缶を顔の隣でプラプラと揺する丸ちゃんの右側、コンポタージュを指さして丸ちゃんから差し出されたそれを受け取る。
「暖かいやろ?」
普段飲むのより5倍は美味しく感じるはずやで、と興奮気味にプルタブを引っ張る丸ちゃんの真似をして、1口口に含むと本当にそう感じるくらい、美味しくて。
「これ、小豆とコーン残るやつやんなぁ」
上手に飲めるかな、と眉間にシワを寄せながら缶を叩く丸ちゃんを横目で見ながらスープを飲み干す。
自慢じゃないけど、私はコーンを残さないで飲むのはかなり上手だと思っているから丸ちゃんよりも早く飲み終わった。
「んー、もうこれは無理なやつや、諦めた」
だから、丸ちゃんがそんなことを言って諦めるまで__時間にすれば1分くらいだったと思う__隣で必死な丸ちゃんをずっと眺めてた。
本人は全く気付いてなかったけど。
「なんか、身体の中から暖かい気ぃするなぁ?」
なんて言いながら私の分の缶も受け取って捨ててくれた丸ちゃんに頷いて、歩き出す彼に遅れを取らないように隣を歩く。
「ありがとうございましたー」
という声が聞こえてくるのと、バス停__何駅かしか止まらないバス専用の__にバスが停車するのは同時で。
「あれのらなあかんねんっ」
やば、とわかりやすく隣で焦る丸ちゃんの手を取って走り出す。
頭で考えるよりも行動してしまうタイプだったのかもしれない、私は。
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櫻華(さくら)(プロフ) - さらさん» コメントありがとうございます!そう言ってくださると頑張って書いた甲斐があります(^^)応援もありがとうございます!ぜひ、楽しんでいただけたら嬉しいです! (2019年3月1日 22時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
さら - 読み終わって、本当に、本当に大好きな作品です!新作も頑張ってください!応援してます!(^○^) (2019年3月1日 21時) (レス) id: 774dc9dc2f (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 櫻華(さくら)さん» はいw楽しみにしてますー。 (2019年1月19日 16時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(さくら)(プロフ) - 世現身(。。)さん» ありがとうございます!完結まで走り抜けますので、ぜひ楽しんで読んでいただけると嬉しいです(´˘`*) (2019年1月18日 17時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 続編おめです!これからも応援します!!(。。)♭ グッ (2019年1月17日 21時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2019年1月14日 13時