* ページ3
そう考えると、私は丸ちゃんのことを好きになってもいいような存在ではないということは分かるんだけど。
恩人だと感じさせない丸ちゃんの温かさが、その事を私に深く考えないようにさせてくれている。
その優しさで私がどこまでも丸ちゃんに溺れていくから、若しかすると逆に、彼は悪魔なんじゃないかと思うほど。
「っ…綺麗やけど、寒いなぁ」
私が丸ちゃんの横顔をぼうっと眺めていると、その視線に気付いた丸ちゃんがわざとらしく少しだけ大きな声で、太陽に向かってそう呟く。
「うん、寒いなぁ」
と、丸ちゃんの関西弁を真似して見ると、驚いたように目を真ん丸にして私に向かい合ってくれる。
__関西人は、エセ関西弁を物凄く嫌うとどこかで聞いたことがある。だから、こんな些細なことだけどもしかしたら、丸ちゃんのことを怒らせたのかもしれない。
なんて、ふと不安になって目を閉じる。
だけどいつまで経っても丸ちゃんからの怒りの言葉は降って来なくて。
代わりに、丸ちゃんの両手が私の頬を包み込んでいく。
その手が物凄く冷たくて、思わず少しだけ飛び上がる。
「なんやねんその反応」
目を開けるとクスクスと笑いながら丸ちゃんが、私を愛おしそうに見つめていて、なんだか恥ずかしくて嬉しい、不思議な気持ちになる。
「関西弁、下手くそやったから…」
僕が今度、教えたるな。
と、両手で私の頬をむにゅ、と潰しながら丸ちゃんが少しだけいつもより低い声で囁く。
今度、がいつかは分からないけど、もう少し丸ちゃんと一緒にいられる気がして心が暖かくなる。
「ほな、そろそろスキー場行こか?」
なんて、下るのが少し大変な階段を、私に負担をかけないように荷物を全て持って降り始めるから、私も慌てて跡を追いかける。
209人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻華(さくら)(プロフ) - さらさん» コメントありがとうございます!そう言ってくださると頑張って書いた甲斐があります(^^)応援もありがとうございます!ぜひ、楽しんでいただけたら嬉しいです! (2019年3月1日 22時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
さら - 読み終わって、本当に、本当に大好きな作品です!新作も頑張ってください!応援してます!(^○^) (2019年3月1日 21時) (レス) id: 774dc9dc2f (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 櫻華(さくら)さん» はいw楽しみにしてますー。 (2019年1月19日 16時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(さくら)(プロフ) - 世現身(。。)さん» ありがとうございます!完結まで走り抜けますので、ぜひ楽しんで読んでいただけると嬉しいです(´˘`*) (2019年1月18日 17時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 続編おめです!これからも応援します!!(。。)♭ グッ (2019年1月17日 21時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくら | 作成日時:2019年1月14日 13時