*朝日 ページ1
丸ちゃんが教えてくれてから、朝日が見れるんだ!とワクワクし始めた私はそれからどのくらい歩いたのか、よく覚えていない。
その距離は決して短くはなかったけど、丸ちゃんとお話をしていたらあっという間に感じたから。
「丸ちゃん、今何時?」
「6時前やな…もうすぐやで」
なんて会話をしたのは、少し急な山の斜面にある階段を登り終えて広く抜けた所に着いた頃。
普段そんなに運動をするわけじゃない私と、年齢的にはおじさんな丸ちゃんがこの階段を上るのはかなり時間がかかって。
でも、朝日のよく見えそうな高台から見下ろすポツポツと着いた街の灯りはとても綺麗で。
空気もさっきよりも更に澄んでいる気がして、大きく深呼吸をする。
また、丸ちゃんの匂いがぶあっと私の中に入ってくる。
今度はむせなかった。
全部、体に取り入れなきゃと思って、むせたくなかった。
「人、居ないね」
「うーん、みんな寒いんやろなぁ」
「勿体ない」
「でもそのおかげで、二人きりで見れるやん?」
ありがたい話しやで。と、木で作られた山によくある柵に手をついて丸ちゃんが周りを見渡す。
丸ちゃんが息を吐く度に白い息が出ていて、丸ちゃんは冬がとても似合うと思った。
「そうだね」
と呟いて、丸ちゃんの隣に同じように柵に手を付きながら並ぶ。
少しずつ空が白み始めて、もう少しで朝日が見れるんだなぁと、それだけで感動する。
「丸ちゃんっ、もう朝になるよ…!」
なんて、高鳴る胸の鼓動を丸ちゃんにも知って欲しくて、隣でぴょんぴょんと跳ねると、優しい目をして丸ちゃんが頷いてくれる。
「Aちゃん?」
その丸ちゃんの目がとても優しくて、でもその奥に少し男を感じて。
丸ちゃんに名前を呼ばれて、ん?と首を傾げながら丸ちゃんを見上げると、
優しく唇を塞がれる。
同時に、急に空が明るくなったからきっと、今の瞬間で太陽が頭を出したんだろう。
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櫻華(さくら)(プロフ) - さらさん» コメントありがとうございます!そう言ってくださると頑張って書いた甲斐があります(^^)応援もありがとうございます!ぜひ、楽しんでいただけたら嬉しいです! (2019年3月1日 22時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
さら - 読み終わって、本当に、本当に大好きな作品です!新作も頑張ってください!応援してます!(^○^) (2019年3月1日 21時) (レス) id: 774dc9dc2f (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 櫻華(さくら)さん» はいw楽しみにしてますー。 (2019年1月19日 16時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(さくら)(プロフ) - 世現身(。。)さん» ありがとうございます!完結まで走り抜けますので、ぜひ楽しんで読んでいただけると嬉しいです(´˘`*) (2019年1月18日 17時) (レス) id: 04bcbb370b (このIDを非表示/違反報告)
世現身(。。) - 続編おめです!これからも応援します!!(。。)♭ グッ (2019年1月17日 21時) (レス) id: 85930732e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2019年1月14日 13時