38話 ページ41
「よし、誰もいない!」
私は旧校舎の裏庭にあたるとこへ腰をおろした。ここは本当に人が来ないから、私のお気に入りの場所だ。1年生のときに見つけたんだけど未だに誰かに会ったことがないんだよな。
ベンチに絵の具セットを乗せ、白いキャンバスを開く。
ここの良いところは静かなところと、グラウンドが見渡せるところ。
それなりに距離があるため、グラウンドの人はこちらに気づかない。
「サッカー部は…っと」
私は目を凝らしながらグラウンドを見つめた。何故か視力が究極的に良いため、この距離からもそれぞれの人の顔が見える、が。
「……キヨ先輩がいない」
キヨ先輩の姿を見にきたのに本人がいないんじゃ意味がない。
だけどまあ、仕方ないか。
今更動くのもめんどくさいのでグラウンドの景色をサッとシャーペンで描いていく。
それから数十分たち、おおよそのラフ画が完成した。
よし、おっけー!
「ふぅ…今日はこの辺でいいかな」
「うおおお上手えええええええええ!!!!さすが美術部だな!!」
「へぁ!?」
突然背後から話しかけられ、私は飛び上がった。
振り向くと、そこにはタオルを首にかけ、汗を垂らしたキヨ先輩がいた。
髪の毛が濡れ、いつもの整った髪が肌へとへばりついている。なんだか少しだけ、本当に少しだけ………色っぽい。
「……っ、キヨ、先輩」
何とか言葉を絞り出すと、キヨ先輩は満面の笑みで「久しぶり」と言った。
「お久しぶりです!な、何でここに…?普段人来ないのに…」
「んぁ?ここは1年のときから俺のお気に入りの場所だからなー。人来ねぇし、考え事したい時とかここにくる!」
「そうなんですか…」
「むしろお前が知っていたことに驚きだわ!初めてここで人と会ったし!!」
おかしそうに口を抑えながらキヨ先輩が言う。何だかその姿がすごく懐かしく感じる。
「そーいや、お前どのくらいの間ここで絵描ける?」
「え?まあ、基本暇な部だし行こうと思えばいつでも」
私の答えにキヨ先輩は満足気に頷いた。それからビシッと手を突き出す。
「じゃ、これから毎日放課後ここで話そうぜ!」
「……え?」
「何だよ、嫌なのかよー?せっかくAおもしれーし!繋がりなくなったらやだしな!」
…キヨ先輩と会うのが嫌なわけない。
「私も、私も先輩とたくさん話したいです!」
「じゃ、けってええーい!」
「はい!!」
ーその後、実況の話で盛り上がり、あっという間に時間がすぎた。
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ふくろう - かえさん» いえいえいえ!!てか、キヨとこーすけの仲悪い説wwww私はあれ絶対嘘だと思いますよ!結構裏では飲んでたりするみたいですし…。ww (2014年9月14日 12時) (レス) id: af2619a78d (このIDを非表示/違反報告)
ふくろう - いきなりすみません!私これを読んで、すごいいいお話だなーとおもいました!!更新頑張ってください!!!! (2014年9月13日 16時) (レス) id: af2619a78d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いっぴ | 作成日時:2014年9月6日 0時