Not a ヒロイン (ページ10)

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聡の笑顔はズルい

昔からそうだ。無邪気で人を騙そうとしないあの笑顔に女の子は皆好きになってた。

私なんて小2からだかんね。
9年だよ、9年。

あ「ぅっ…そぉ…」

元々体力の無い私は走る速度を落として乱れた息継ぎで泣きながらトボトボ歩く

9年って
人生の半分だよ、バーカ。

情けない

想いを伝えることはおろか気のある素振りさえできなかった私がこんな事を思う資格はない。

なのかちゃんに嫉妬する資格もない

何故なら、なのかちゃんは聡に告白をして聡をゲットしたのだから。
その時点で私はなのかちゃんに負けている。

聡の気持ちはドンドン離れて行くばかり。

あ「うぇ…っ、やだよぉ」

嗚咽、というより吐く寸前の様な声

人がいなくて本当に良かった

今は涙が止まらない&抑えられない。

「お、泣いてる」

あ「…あ…?」

背後から聞き覚えのある声がして振り返ると

まさかの佐藤くん。

何故。硬直。

え、え、と訳のわからない言葉を発して口を手で押さえる。
絶対今鼻水だらけだよ、私の顔。

バイト終わり佐藤くんから逃げる様に上がった私にとって気まずい以外の何者でもない。

あ「な、何でここに…」

勝利「何で声裏返んの(笑)俺この辺に住んでんの」

あ「この辺って……」

私の記憶が正しければこの辺区域に住んでる同級生
は皆知ってる。

何故なら、
この区域の同級生は小学生から同じで一緒の中学校に上がっているから。聡も一緒。

私、佐藤くんのこと知ったの高校生になってからだけど。

勝利「半年前に引っ越してきた」

あ「え、え?」

私何も聞いてな、

勝利「声に出てた」

そんな漫画みたいなことあるかよ！

勝利「もう泣くなって言った」

あ「さ、佐藤くんに言われたからって無理だよ」

勝利「……知らねーよ」

しまった。

昨日と同じ状況だ………。。。

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