防弾と独りの歌姫

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:880,217 hit

1* ページ1

｢はぁ……またダメだった｣

手に持っている紙にはでかでかと

“不合格”

の文字が……

これで何回目かも分からない

私は高校に入ってから今まで、音楽関係のオーディションを受けている

もう今年で高校3年生

そろそろ進路も考えないと……

自分で言うのもあれだが、見た目はそんなに悪くない

何で私が不合格なのか聞くと、決まってみんなこう答える

“歌声が聴こえない”

“口パク??”

そんな訳ない

だって私にはちゃんと聴こえるのだから

ある日、ギターを持って公園で歌っていると

??｢やぁ｣

小太りの男性に声をかけられた

どうせ水商売とかそういう系のスカウトだろう

｢あの、変な仕事とか興味無いんで……｣

するとその男性はびっくりしたように目を開き

??｢僕のこと知らないかな??

僕はこういうものなんだけど……｣

名刺を貰って見てみると……

｢BIG ……BIG HIT?!｣

よく顔を見ると……あ!!パンPDだ!!

PD｢あ、やっと分かってくれたね笑

あのもしかしてだけどもう事務所入ってたり……｣

｢それが……私は全部落ちちゃって……｣

私はこれまでの事を話した

歌声が聞こえないこと

口パクと馬鹿にされたこと

｢ほんと自分でもわかんないんです笑

歌声が聴こえないなんて……

歌詞も伝わらないし、声も伝わらない……｣

PD｢僕には聴こえたけどな……｣

｢え?!｣

PD｢さっきの歌、君が作ったの??

たしかに……こんな感じ｣

｢そう……です

何で、何で……｣

私は嬉しくて涙がこぼれた

PD｢ねぇ、君

僕の事務所に来ないかい??｣