【9k】リードはしっかり握って！【男主】 (ページ9)

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あだ名で呼べない犬ページ9

ko_chan side

『なんかこうちゃんさんって苗字呼びとかあだ名呼びがしっくり来ないんですよ』

目の前に座ってる伊泉が突然こんなことを言い出した。伊泉と同い年の乾でさえ俺の事をこうちゃんと呼んでいるのに、

ko｢おれ？こうちゃんしっくり来ない？｣

『うーん、なんか年上の方あだ名とか呼び捨てとかにできないんですよ』

ko｢へぇ〜。なんで？｣

『母に上下関係だけはしっかりしろって言われてるんです。』

ko｢まぁ、上下関係大事だからね｣

『あの、航平くんって呼んでいいですか？』

伊泉は俺の目を見てそう言ってきた。

ko｢え？航平くん？あんま呼ばれたことないな…｣

『じゃあ、俺だけの呼び方ってことにして！航平くんって呼んでもいいですか？』

伊泉の目を潤ませながらお願いしてくる得意攻撃。多分ここのオフィスにいる人はこれを断ることはできない。

ko｢まぁ、いいよ。いずみだから許そう。｣

『やった！ありがとうございます！』

何故だろう。伊泉からしっぽが生えてるように見える。ぶんぶん音を立ててしっぽを左右に振っている。

思わず頭に手が伸びた。そして髪の毛を撫でた。あっ、犬だ。頭を触られて驚いたようだけど撫でられている内に目を細めて気持ちよさそうな顔をしている。犬でしかない。

『航平くん、くすぐったいです〜』

ko｢河村さんのツイートの意味わかったわ｣

｢河村さん？ツイート？｣

ko｢いずみ犬みたいだな｣

『航平くんもそれ言うんですか？！僕人間なのに』

シュンとする伊泉はそれはそれは怒られた犬だった。垂れた耳としっぽが見える。

ko｢ごめんこめん、｣

軽く謝るが少し拗ねている伊泉はやっぱり犬だった。

『次言ったら航平くんでも許しませんからね！』

そう言ってもう！と言いながら記事を書くのに戻った伊泉。

今日突然俺は呼び方が変わりました。あだ名で呼べない後輩は大型犬でした。

初めての呼ばれ方に結構驚いてます。これから航平くんって呼ばれて反応できるかな…