及川徹の心の支え【及川徹】 (ページ15)

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＿＿＿＿貴方side

12時半に部活が終わったけどさっさと着替えて急いで向かえば1時半には会場に着いた

どこまで大会が進行しているのか、普通なら観客席に上がって見ればいいんだろうけどそんなことしてしまったら徹に会ってしまうのは一目瞭然だ

だから私は何箇所にもある体育館の出入り口で、耳をそばだてて漏れ出る応援の声を聞き取る

青城の応援が聞こえないのでとりあえず安心する。

もう少し集中して耳をたてたらちょうど試合のコールが聞こえたためどこの高校がコートにいるのか特定することができた

中学の時からずっと、こうしている。

徹に出くわさないようにするためにはこれしかない

当然何回か徹に、「どうして顔を見せてくれないの」と言われたことがある

その時はきまって、笑って誤魔化す

徹は優しいからそれ以上追求してこない

徹は何も覚えてないとしても。

それでも私にとっては重要なこと。

＿＿＿＿＿＿＿＿あれは小学生の時

徹と一がクラブチームに入ってから遊ぶ回数が減ってしまったけれど、練習のない日は外でバレーをしていた

見よう見まねでやっていたバレーもコーチに習ってからきれいなフォームになって楽しそうに笑うのを見てるのが楽しかった

ある日徹にクラブチームの練習風景をみにこないかと誘われた時、すごく嬉しかった

近くで努力をしているところを見ていた分、真剣にバレーに取り組む姿が何よりも好きだから。

徹のお母さんと一緒に練習を見学していたら結構な頻度で徹はコーチに話しかけられ、その度に照れ臭そうにしていた

「徹、いつもより力んでいるみたい」

変ね、と首を傾げていうお母さん

練習が終わって、徹に真っ先に話しかけた

「すごかった！…でも徹のお母さんが、いつもと違うって」

「やっぱりわかったんだ」

「体調でも悪かったの？」

「ううん。でも、Aちゃんが見学してるの見たら緊張しちゃった」

その言葉が今でもひどく心に残っている

私が見ていたから、徹はいつもと同じようにプレーができてなかったわけで

それはまぎれもなく私が原因

徹がバレーを心の底から好きなことを身近で感じていた分、私がそんな徹の邪魔をするだなんて許せなかった。