及川徹の心の支え【及川徹】 (ページ13)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:265,093 hit

13 ページ13

＿＿＿＿国見side

トイレから帰ってきてみれば、第一に及川さんの不機嫌さが目立った

それに気付いてる何人かの部員は冷や汗をかいている

「金田一、及川さんなんかあったの？」

「いや、さっき岩泉さんと戻ってきたときにはもうあんなだった」

俺たち部員が妙な雰囲気になってるのを感じた岩泉さんが声をかける

「お前、その顔で試合出んなよ」

「わかってるよ」

少しイライラしたように答える及川さん

…もしかしてあの人のことかな

中学の時に側で支えていたであろうあの人が及川さんの機嫌の良さの原因であるならば、今の不機嫌もその人が原因のはず

確か名前は＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

Aさん

及川さんの情緒とAさんが関係してるか、確証はないけれど聞いてみる価値はある

「岩泉さん、ちょっと良いですか」

「なんだ」

「ここじゃあれなんで」

岩泉さんを観客席から少し離れたところに連れ出す

もし間違ってたらその時はその時だ

「間違ってたらすみません。及川さんが不機嫌な理由ってAさんが関係していますか」

びっくりしたように岩泉さんが目を丸くする

「なんでお前Aのこと知ってんだ」

　

「たまたま見たことがあるんです、2人でいるところを。じゃなきゃ多分知らなかったままですよ」

「そうか。…確かに及川はAが他の女子から反感買わないように学校では配慮してたからな。仲良いのを知らない方が当然だ」

それだけ及川さんが大切にしている人物

「岩泉さん」

改めて、先輩の目を真っ直ぐ見つめる

「及川さんはいつもうざいし、めんどくさいです。でもそれ以上に尊敬してます。だからこそ及川さんには気持ちよくバレーをしてほしい、そう思ってるんです。俺に何かできることがあれば力になります」

「いつも悪態ついてんのにか？」

「及川さんがうざいのは本当ですから」

「ははっ。…いい後輩を持ったな」

少し考えてから岩泉さんが口を開いた

「今の及川の1番の特効薬はAと直接会わせること。顔は知ってるか？」

「はい、覚えてます」

「もしもAを見つけたら及川のとこに連れてけ」

絶対すぐに笑顔になる

そう言って岩泉さんは笑った