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井戸の塩水 ページ6

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「お前らは先に帰ってろ。俺はまなかを探す。」

「でも、光!」

「それとお前」

「俺らに構うな。助けなんていらねぇ」


言うだけ言って彼は向井戸さんを探すべく一度海に浸かってすぐに去っていってしまった。

比良平さんが海に使ったのを確認して、Aは自身の家の帰路へと着いた。



〜〜

『ただいま』

Aの家は学校からかなり近い。歩きで十五分程度と言ったところだ。電車で来る人もまぁ多いので近い方だと思う。


『おばあちゃん、また井戸に水入れてない。干からびるよ。』

「もう慣れたものよ。長年、地上にいるとね」


おばあちゃんは自分を老害だ老害だと言ってならない。おばあちゃんも歳なので、気にすることも有るのだろう。

「いつまでも私がいちゃ、あんた達の足枷にしかならないよ。」

『そんなこと』

「そんなことあるさ。」


おばあちゃんは父と似て頑固だ。
岬家は母、父、祖母、わたしの四人家族で元々汐鹿生に住んでいた。

けれど、歳である祖母を養うべく汐鹿生の生活では苦しかった。
そこで、自ら地上に上がるという選択を選んだ。

しかし、父は反対した。海を好んでやまなかった父が反対するのも無理がなかったのだろう。

その頑固さはおばあちゃんにそっくりだ。


結局、父は汐鹿生に残り、Aたち三人で地上へと暮らしているわけ。母はほぼ働いていて、電車で一時間半の大きな街で働いているそう。

だから、基本平日に家にいるのはおばあちゃんとAの二人。


『おばあちゃん、お水、組んでくる。』

「ん」


地上に上がった私達は当然リスクもある。岬家全員、エナを持っているため干からびさせることは絶対にあってはならないのだ。

だけど、約十年間地上で暮らしてきて気づいたことがある。
そんな長年も地上に入れば、エナも耐性が徐々にできていくということだ。
だけど、干からびるものは干からびるし、なにより干からびていることに気づかないことが多くなった。

だから、一日に一、二回程度塩水を浴びるだけで寝ている間も平気だ。


『かといって、おばあちゃんはエナが乾くの早いのにな』

Aは自分の家の近くの海に来ていた。普通の井戸の水を組むのなら、自動的に井戸に来るが、私達が欲するのは塩水なのでここまでくる必要がある。


「あれ、Aちゃん?」

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あかね(プロフ) - 続きまってます!! (12月26日 18時) (レス) id: 247b37eb4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾鷹 | 作成日時:2023年8月4日 15時

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