修学旅行の時間 * * * * * ページ31
「さっきの写真真面目な神崎さんもああいう時期があったんだね」
「うちの父は厳しくてね。いい学歴いい肩書きを求めてくるの。そんな肩書きから逃げたくて、知っている人がいない場所で格好も変えて遊んでたの。」
少しでも子供の気持ちが伝わってほしいという親への子供からの反抗だったのだろう。
「馬鹿だよね。遊んだ結果得た肩書きは“エンドのE組”。もう自分の居場所が分からないよ…。」
「俺らと仲間になりゃいいんだよ。俺らも肩書きとか死ねって主義でさぁ。エリートぶってる奴らを台無しにしてらぁ。なんつぅか自然体に戻してやるみたいな。俺らそういう遊びしてきたからよォ」
悪趣味かつ極悪だ。
人の懐に土足でずけずけとつけこんではぶち壊す。結局この集団も同じ奴らを探しては堕としてきた中身のない仲間探しの仲間同士なわけだ。
「さいってー」
「あ？」
さっきの愉快そうな気持ち悪い顔を浮かべていたのに対してカエデの言葉が彼の何かに触れたのかカエデに矛先を向けた。男がカエデの首を掴みカエデの足が地についていない。
「何エリートぶってんだよ？あぁ？オメェもすぐに同じレベルまでオトしてやんよ！！」
「がはっ！ごほっ」
それに反応して反射で動いたものの、Aの身体は縛りつけられているからどうしようもできない。自分の無力さにただ下唇を噛んでいるだけだった。
「いいか？宿所に戻ったら涼しい顔してこう言え。楽しくカラオケしてただけですって。東京戻ったらまた楽しく遊ぼうぜぇ。楽しい旅行の記念写真でも見ながらよ」
「あ、きたきた。うちの撮影スタッフがご到着だぜぇ……なっ！？」
そこには誰かにボコボコに殴られて顔面が潰れた彼らの仲間らしき人がいた。それと同時に見知った顔が三つ。
「修学旅行のしおり1243ページ。班員が誰かに拉致られた時の対処法。犯人がわからない場合、犯人の会話や訛りなどから地元であるか否かを判断しましょう。地元民でなく更に学生服を来ていた場合、1343ページ。考えられるのは同じ修学旅行生でおいたをする輩です。」
「なんでこの場所が分かった？！」
「土地勘のないその手の輩は遠くへは逃げない。近場で人目のない場所を選ぶでしょう。その場合付録134ページへ。先生がマッハで下見した拉致実行犯拉致潜伏マップが役立つでしょう！」
「すげぇなこのしおり！完璧な拉致対策だ！」
「いやぁやっぱ修学旅行のしおりは持っとくべきだね」
「「「 ねぇよ！そんなしおり！！ 」」」
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作者名：綾鷹 | 作成日時：2022年8月25日 23時
