中間テストの時間 * * * * * ページ26
その日の放課後、生徒らが外へととっくに帰っていった時間Aは帰路につこうと鞄を持とうともせず自身の机に座っていた。
そもそも何故いつもなら最近カエデと下校している彼女がこうやって一人で教室に残っているのか。それは言わずもがな殺せんせーに残ってくれと言われたからだ。
「お待たせしました七峰さん。こうして話すのもなんだか久しぶりですねぇ」
『そうですかね』
「七峰さん。心当たりはありますね？」
「七峰さん」
『…違います私の実力です。何も』
「理科74点、数学59点……君の今回の点数です」
ここでやっとAは俯いて殺せんせーと目を合わせない顔を上げた。突然自身の点数をさらけ出してくるものだから何事かと思うばかりと同時に悔しさが溢れそうだったからだ。
「君なら今の実力でも50位以内にはいれたのではないですか？」
『…そんなことはありません』
「それに不自然です。理科が比較的不得意で数学が得意としている君がなぜか点数が逆転している。数学の解答を見てみると、七峰さん。基礎的な計算問題を複数間違え、最後の難問を解けているのだから。先生の目は誤魔化せませんよ。
七峰さん、話してくれますか」
殺せんせーには何故か全て悟られてしまう。
『…私、
「七峰さん。半端な気持ちほど身を滅ぼすものはないですよ」
『…はい』
「分かりました、七峰さん。次の期末テストで上位3位を目指しましょう！」
『上位3位ですか？』
確かにAはA組のなかでも成績は上の方だが、上位3位までに入れたことは一度もない。一番上は取れないだろうとどこか思いながらテストを通してきていたAにとってそれは未知の領域だったからだ。
「はい、君が学習面に関してどれだけ優秀なことは知っています。10位以内に入ったところで君は満足はしないでしょう。一方で上位3位を目指すとなれば君は本気で挑むはず。半端な気持ちではないと自分に自信を持てるはずです！」
『自信…』
一方でAは殺せんせーが暑く語る未知の領域に興味が湧いてきつつあった。
その領域はどんな感覚なのだろうか。どんな気持ちになれるのか。定期テストで味わえたことのないその領域はどれ程自分を満足させてくれるのか。じわじわと胸が熱くなる気がした。
「ほら、どんどん
殺せんせーには全て悟られてしまう。
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作者名：綾鷹 | 作成日時：2022年8月25日 23時
