大人の時間 * ページ14
「イリーナ・イエラ・ヴィッチです♡」
「まぁ、なんて円な瞳！私惚れ惚れしちゃう。」
「ズラです。」
「かまいません♡」
私たちは何を見せられているのだろうか。
さっきから教卓の前では顔をデレデレと歪ませた殺せんせーと見知らぬ金髪の外人女性が会話を繰り返している。
その女性の上部の
烏間先生によると『本格的な外国語に触れさせたい』とのことだそう。英語の先生、になるということだろうか。
いい加減殺せんせーのそのピンクで惚気けた顔が治らないかと、皆呆れていた。
〜〜
「へい、パス！」
「へい、暗殺！！」
グラウンドでサッカーをしながら暗殺をするというゲームに多くの生徒とターゲットがあたかも中学生がただ純粋にサッカーを楽しんでいるように行っていた。
『(サッカー…あ、暗殺か)』
「あ、七峰さん！」
遠くで眺めていたAを茅野は笑顔を向け、こちらに向かう。
幹のように細くて華奢な手が私の手を柔く握る。
「七峰さんも暗殺しない？楽しいよ暗殺サッカー」
『…私は』
「殺せんせぇ〜！」
と、甲高い声で殺せんせーに呼びかけ、こちらに向かう女性が一人。
正直、イリーナ先生の足元をみるとかなり高いヒールなので転けそうだな、と思う。
「烏間先生から聞きましたの！足がお速いんですって。
お願いがあるの、一度本場のベトナムコーヒーが飲みたくっ
て！私が英語を教えている間に買ってきて下さらない？」
「お易い御用です。ベトナムにいい店を知ってますからッ」
先程から、普通に黄色だった殺せんせーの顔色がいつの間にかピンクに変色していた。
なんて単純な触手だ。
先生はすぐさまに暗殺サッカーを中断し、マッハで飛びだってしまった。
予鈴も鳴り、そろそろ英語の授業が始まる時間だ。
「えっとイリーナ先生、授業始まるし教室戻りません？」
渋々とイリーナ先生に問いかける委員長だったが、さっきまでのイリーナ先生とはまるで雰囲気が違った。
「…授業？あぁ、各自自習でもしてなさい。」
『え』
「あと、ファーストネームで気安く呼ぶの辞めてくれる？
あのタコの前以外に先生を演じるつもりは無いし…、
イェラ・ヴィッチお姉様とお呼びなさい。」
しまいには煙草を吸い始めた。
「んで、どうすんのビッチ姉さん」
さっきまでとは明らかに雰囲気が打って変わった印象と雰囲気の場に場違いのような言葉が飛ぶ。
勿論、挑発的な彼だ。
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作者名：綾鷹 | 作成日時：2022年8月25日 23時
