【死柄木弔】ヤられかけたら恋された。 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,013 hit

1 ページ2

堪えられずに漏れる吐息も涙も空気中で消えていくほどに、速く走る。

乱れた服を整える気すら、もう湧かない。

このまま堕ちて、いつか戻れなくなるのなら

死んでしまおう。

ぐつぐつと内側で滾る感情に身を任せて突っ走る。

どうせこの世なんかに、なんの後腐れもない。

自由なファッションも

純情な恋も

幸せな友情も

希望の詰まった夢も

普通の家族も

...幼なじみとの未来も

もう、いらない。

結局味方は誰もいなかった。助けるなんて、守るなんて、大嘘だった。

｢思い出したくないのにな...｣

目頭の熱は留まる様子もない。
ここらじゃ有名な、治安の悪い路地裏に差し掛かる。

あまりの冷たい空気に身震いする。結局一人で死ねない中途半端なあたしの墓にはちょうどいいか、自嘲的にと腹を括る。

闇に1歩踏みかかった.....その時だった。

｢オイ...クソガキ。｣

桁違いの寒気に全身の毛が逆立つ。
素人のあたしでもわかるような...殺気、狂気の塊に背後から見下ろされているのをひしひしと感じる。

あまりの恐怖に1ミリも体が動かない。

喉になにか詰められたように息すら苦しい。

｢お前みたいな...生意気そうな...幸せそうなクソガキが...俺ァ1番気に入らねぇんだよ...｣

｢なァ...調子乗ってお友達とダンジョン攻略か...？夢があっていいなぁ..！.｣

その一言に、今までの感情が間欠泉のごとく吹き出した。

恐怖が怒り、憎しみ、悲しみで押し潰される。

もはや涙も枯れ果てた。

誰も彼も、くたばればいい。