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『今日暇かにゃ？』
「今日…？どうして？」
兎のクッションを膝に抱えてふとリモコンを手に取った。
『実は行ってみたいケーキ屋さんがあって！…でも俺一人じゃなんか行きづらくて……』
菊丸の一言にAの動きがピタリと止まる。
菊丸と出掛けるのは構わないといえば構わないけれど、平日に一応トップアイドル、歌手として芸能界で活動している人間が真昼間から二人きりで出掛けるのは如何なものか。
写真に撮られたらどうすべきなのか、Aにはリスクしか浮かばなかった。
「ごめん、菊丸君…今日はちょっとごめんね。」
Aは眉を下げてここには居ない菊丸へと軽く頭を下げた。
菊丸とは仲が良い同業者であり友人でもある、自分は暇を弄んでいるのにリスクを考えた時にどうしても踏み切れなかった事に罪悪感を覚えた。
『そっかぁ…じゃあ今度佐久間さんにお願いしてロケ出来るようにしちゃおうかにゃ！』
「菊丸君、それはすごく横暴よ。おやめになって？」
電話口に聞こえる菊丸の愉快そうな笑い声にAは安堵の息をついた。
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さて、どうしたものかとAは瞳を閉じた。
Aは本当に本当に暇なのだ。
休みの期間に歌の練習を過度にして喉を壊す訳には行かない、何しろ"お正月休み"なのだから身体を休ませなくてはいけない。
これからの一年もハードになることがAには分かっていた、だからこそ休みたいのだが。
マイクを持ってカメラに微笑んでフリルのついた可愛らしいドレスに身を包み、全身から見てくれる人に"幸せ"を届ける。
それがAにとっての日常。それ以外は、非日常。
そうだ、とAは手を叩いた。
思い立ったらすぐ行動がAのモットーであり、Aの揺るがない精神でもある。
髪の毛をコテで軽く巻いてから、不得意ではあるが最低限のお化粧を施す。
そして寝巻きを即座に脱ぎ捨てて、あまり目立たないが淡い桜色の生地が揺れる膝丈のワンピースに身を包む。
先輩の歌手から頂いた深いブラウン色のブランドの鞄を肩にぶら下げ、お財布とハンカチとティッシュと携帯とモバイルバッテリー、そして家の鍵を鞄に詰め込んだ。
最後にベージュ色のコートを羽織って、黒いピンヒールを履いて家の扉を閉めた。
Aのお気に入りの香水の香りが、主を失った部屋に優しく広がった。
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桜田 しおり(プロフ) - も執筆中です。これからも桜田しおりをよろしくお願いします。 (2019年3月31日 0時) (
レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
桜田 しおり(プロフ) - 更新停止という形で一時完結になります。また時間がありましたら、地道に更新していく予定ですのでどうぞよろしくお願いします。また時間がありましたら、中編レベルの作品も更新していく予定ですので、、そちらの方もよろしくお願いします。ただいま「我儘」という作品 (2019年3月31日 0時) (レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
桜田 しおり(プロフ) - 一時更新停止という形でお休みさせていただきたいと思います。今作を楽しみにしてくださる方には大変申し訳ございません。ですが有難いことに私生活の方が多忙で、その多忙の中で書く作品は私も面白くないですしきっと皆様も面白くないと思うんです。ですので、今回は (2019年3月31日 0時) (レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
桜田 しおり(プロフ) - コメントで失礼させていただきます。ラブソングを貴方に、を閲覧してくださった方本当にありがとうございます。作者の桜田しおりと申します。今作は思っていた以上に長く続く作品となりましたらいい。来年度からまたより一層忙しくなる事が予想されます。ですので今作は (2019年3月31日 0時) (レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
桜田 しおり(プロフ) - 、さん» ありがとうございます！ご期待に添えるように頑張ります！応援よろしくお願いします。 (2018年12月29日 10時) (レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜田 しおり | 作成日時：2018年12月26日 0時
