37 ページ37
.
朝になっても熱が下がらず
おでこに貼ってあった冷えピタも冷たさを保っていなかった。
｢まだ38度あるわね…今日は学校休みなさいよー｣
『ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ…うん、』
冷えピタを替えてくれたお母さんは仕事に行き
部屋に1人残された私は寂しさが一気に込み上げてくる。
そんな寂しさを紛らわすために目を閉じるけど
その度にグクの顔が浮かんで胸が苦しい。
熱のせいでいつも以上に肌寒くて人肌が恋しくなる。
グクに会いたい
会いたいよ……。
私はグクから離れようとしたのに
グクは私を繋ぎ止めようとしてくれた。
私が庶民じゃなかったら
違う出会い方をして、違う運命を辿ってたのかな。
そんな事ばかり考えてたら頭が痛くなってきて
薬を飲もうと手を伸ばすけど水がない。
しょうがない、リビングまで行かなきゃ…
重い身体を動かしてなんとか水を手に取ってソファーに座る。
薬を飲んで戻らなきゃいけないのに
目眩と眠気が襲ってきて意識がだんだん薄れていった。
どれくらい眠っていたのか分からない。
朦朧とする意識の中、覚えのある体温と匂いがして
誰かが私の名前を呼んだ気がした。
もしかして、お母さん…？
｢…ちゃんと布団で寝ろよバカ｣
違う…この声はひとりしかいない。
私が大好きな声。
『ｺﾞﾎｯ…っ、グク…？、』
夢でもいい。
声が聞けただけでも嬉しい。
また意識が遠のいていくと
唇にあたたかいものが触れて
花の香りがした気がした。
｢……き…｣
『………』
｢……きて｣
『………』
｢A、起きて｣
『…っお母さん、』
目を覚ますとお母さんがいて
周りを見渡すと寝たはずのリビングではなく自分の部屋にいた。
『あれ…私、』
｢ふふ、夢でも見てたの？｣
『…ううん、なんでもない』
｢そう？顔色も良くなったし熱も下がったみたいで良かったわね｣
おでこに手を当てて熱が下がったのを確認するとお母さんは笑って安心した。
｢あ、そういえば…玄関の鍵開けっ放しで行っちゃったみたいなんだけど大丈夫だった？｣
『え、うん…』
｢お母さんったらうっかりしちゃっていやね〜｣
笑いながらお母さんは部屋を出て行こうとすると
立ち止まり一点を見つめた。
｢あら、やっぱり誰か来たの？｣
お母さんが指さす方を見れば
真っ赤な一輪のバラが花瓶に飾られていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1583人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みそ - ドキドキとキュンキュンをくれてありがとうございました！本当に面白かったです！きむななさんの小説、大好きなのでこれからも頑張って下さい！！応援してます！！ (2019年11月1日 1時) (
レス) id: e24f263bf8 (このIDを非表示/違反報告)
りなみな - すっごく面白かったです！！！最後のオチ、私はすごく好きです！！！きむななさんの作品好きなのでこれからも書いてくださると嬉しいです！！！ (2019年10月29日 17時) (レス) id: 582ea50ce6 (このIDを非表示/違反報告)
狐兄弟 凌 - 薔薇の所がめっちゃキュンキュンしたぁー！それにめっちゃ面白かったです(^-^)/ (2019年10月17日 2時) (レス) id: 7d3711d128 (このIDを非表示/違反報告)
美・ジ - 泣けました。はんとに終わり方もすべてがうますぎます。これからもたくさんの作品作ってください！本当に感動とドキドキで心がいっぱいになりました。ありがとう！ (2019年9月10日 23時) (レス) id: 6109de95ba (このIDを非表示/違反報告)
ぴょんぴょん - 終わり方うまい！キュンキュン止まらなかった！クグ〜サランへ?あぁ〜 \(>з<)/ (2019年7月14日 0時) (レス) id: ecb5fbfd63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きむなな
| 作成日時：2019年5月13日 21時
