[腐滅の刃]継国兄弟の短編集。

地獄で緑壱！緑壱から逃げ切れ☆（ヤンデレではございません） ページ1

「‥‥‥ここは‥‥地獄か‥」



見えるのはあたり一面真っ暗な闇と、燃え上がる炎。




当たり前だ。




数々の人間を殺し、強くなろうとしたが、




私は結局、緑壱のようにはなれなかった。





「兄上。」




そう、こんな感じで私の名を読んだ緑壱のように‥‥‥



「‥‥‥‥‥ん？」



嫌な感じがして振り返ると、後ろには‥




「お久しぶりです、兄上。」





「緑、壱‥か？」





「はい。兄上をずっとお待ちしておりました。」





「待っていただと‥‥？」





「はい。失礼ながらも兄上のことが心配で」




無表情のまま答える。



こいつはいつもそうだ。


意味が分からない。




私はお前が嫌いだ。憎たらしくてしょうがない。




「実は‥兄上と再会したら、やりたい事がありまして。」





「やりたい事？何だ？」





でも何だかんだ言っても、実の弟だ。


結局、最後まで心の底までは憎めなかった。





「実は兄上と“鬼ごっこ”とやらをやりとうございます。」




「鬼ごっこ‥だと？」




まさか、そんな子供じみた事を言うとは思わなかった。



私はくだらんと緑壱に背を向ける。




「そんな事をしている暇などない。
私は地獄へ行く。」




「お待ちくだされ兄上。
兄上は地獄になど行きません。


兄上が死んですぐに“神”とやらが‥



“ちょっと待って。ねぇ、黒死牢の過去泣ける。マジで地獄とか行かせてる場合じゃねぇわ。
緑壱、黒死牢を迎えに行ってお願い。

そしてあわよくば、そのままずっと黒死牢と一緒にいてね？ね？”




‥‥と、おっしゃっていました。」





なるほど、すでに私は地獄にいたのか。
(緑壱と一緒=地獄)





「兄上、話は戻りますが鬼ごっこしませんか？」




「‥‥いいだろう。
その代わり‥鬼は私がやる。


(訳：とりあえず緑壱から離れたい)」





鬼ごっこが始まった途端、緑壱は光よりも速く逃げた。




私はそれを見届けると‥



「さて‥」



と、緑壱とは反対方向に足を運ぶ。






.







「‥‥‥？」




走っている途中で私は足をとめる。





「‥‥兄上の気配が‥かなり遠くにいった‥？」



しかも、その気配はどんどん遠ざかっていく。(兄上逃亡)





「‥‥まずい。
兄上の行く方向は‥‥」





地獄の中でも最も過酷な、記憶の地獄‥‥




私は兄上の方向に向かって足をはやめた。





「兄上っ‥‥」





今度こそ、お助けします。

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