【ONE PIECE】海軍大将は海の女神も務めます陸【ロシナンテ】

番外編8 クザンと能力 ページ47

「花吹雪！！！」
「っ…ぐ…！！


…っ参った！完敗だ」


沸き立つ歓声。

クザンはどてっと大の字に床に倒れ込んだ

「あ〜っなんでAちゃんそんな強いのよ

こないだの手合わせから間を開けて力ついたと思ってまた挑んだのに、あんたァ限度を知らないよな」

ぷーっと不機嫌そうに唇をとがらせるクザンを見下ろしながら、私はさっと汗を拭った。

そう、クザンと私は定期的にこうして訓練場を貸し切り手合わせを行う

それはクザンからの申し出だが、私も彼ほどの強者と打ち合える機会はそうそうないので、喜んで受けている

…今ではたまの恒例行事として立ち見の兵士たちまで集まるようになった。



「あら、私に汗をかかせてるのよ？もっと喜んで欲しいくらいだわ」
「俺はあの『海の覇者』を出させるくらいになりてーのよ！」
「あれを戦闘で出させた相手は金獅子くらいねぇ…

もう一度出すとなったら世界が終わりそうな時かもね」
「…怖いこと言うねえ」

本気に取ったらしい。


冗談だと笑って、からかうつもりで拳銃のように指を差し向けぴゅっと海水を飛ばした

気づいた彼は瞬間的にピキっと空中で凍らせる。

その様子に口笛で囃し立てた

「さすがね」

そういうと私は落ちた氷を水に戻して、すっと自分の体に戻す

「…え」
「？なに？」

まんまると、クザンが目を見開いていた。

「…Aちゃんって、俺が氷にした水も操れるの？」

かなり愕然としたように上ずった声をクザンは出した

「いや、100％あなたの能力で出来た氷は無理ね。

海水を凍らされたものなら完全に操れるわ、私そのものだもの

湖や雨水も…最近操れるようになったわね。」


ここ何年か続けていた、海水が循環された先の水を操る技術も形になりつつある。


完全な海水と比べれば精度は下がるが、それでも雨や川、湖なども操れるようになれば技も広がるはずだ

「自分の身体からも海水出せんのに、


とことんチートだねえ君」
「大変なのよ？」

む、とむくれて言うと、苦笑いでクザンは私のほおをつつく。




「…ああ、





Aちゃんの努力も知ってるから、困っちゃうんだよねえ」

悔しがるしかなくてさ。


…そう言うクザンの顔は、それでも晴れやかだった。









「…、だから




なんであんたはそう上から目線なのよ！！」

「ええ〜もうここまで来たらいいじゃないの！」




覚悟を決めた大将と、新たな正義をもった中将は、今日も今日とて仲が良いと兵士たちの噂である。

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