【ONE PIECE】海軍大将は海の女神も務めます陸【ロシナンテ】

240話 ページ6

｢……不思議なものね



欠けすぎれば軽蔑され侮辱されるのに

完璧と称されれば最後尊敬されど真の愛は受けられない。


皆遠ざかる、どちらにせよ。｣





…何か、覚えがあるのだろうか


目を見開きながらとんと彼は喋らなくなった。



｢………泣かず笑わず仕事は失敗せず、弱音もはかず寝ずに働き強さを求めた。




強さこそ、完璧こそ、



今まで馬鹿にしてきた者を見返せる、努力も結ばれる

より多くを守ることが出来ると｣

｢！｣



ーーーーーーーーーーーー


カタクリside



この、俺の目を捉えて離させない女が話す内容は、俺がよく、よく知るものだった



『やーい！フクロウナギ！！！！』
『化け物だぜあいつ！』




完璧と称されるようになっても…



『カタクリ様！』
『最強で無敗の男！』
『一度たりとも地に背を付けたことが無い、まさに完璧なお人！』
『きゃああ〜お兄様はやっぱり完璧ね！そこが素敵！』



…、誰の前でも…息をつくことが出来なかった




しかしそれでも。


『カタクリ、ブリュレが！！』
『…なぜ、俺ではなく妹に…？』


…俺が隙を与えたせいで傷つけられた妹の顔が、未だに頭をよぎる




｢私は隙を見せなかった。

自分の中にだけ溜めたたった一つの欠点を膨らませて、


その欠落が私の価値を屑以下と決めると思い込み…



結果的に人に心配させ、迷惑をかけてしまった。｣

…伏せて光のともらなくなったその青い瞳で、お前は何を思い出している。






ひとつ間を置いた…

次の瞬間









再び俺の目を捉えたその深い青は…




満天の星の輝きを灯していた。



｢…っ！｣

｢でも、



私の欠点を残らず全てすくい上げ、包んでくれる人が現れた。


綺麗なぬいぐるみが持ち主と長くいるうちに出来たほつれを…拙くともその手で直され…更に愛着を持たれるように


…その人は私のほつれ全てを下手くそに縫い上げ…


愛してくれた。




…そして、私は今、私として生きられるようになったのよ｣



確かに、


お前は今幸せそうな顔をしている。

241話→←239話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す