72話 ページ25
ひどい耳鳴りがする。
｢…っ？！｣
激しい頭痛に襲われ、押さえつけるようにかがみ込んだ
｢A様…？！｣
声が聞こえる…何かが見える…いや、これは
この光景を、私は…知ってる…？！
ーーーー
｢…プリシラ…可愛いプリシラ。
私の、世界でたった一つの宝物｣
｢なんでしょう？母上…今日は特に具合が悪うございます
お歌の練習は自分でも出来ますから…お休みになって｣
｢あなたは…もう、14ね？｣
｢はい…お母様は明日で…
いえ、何でもございません｣
｢私の母上は、31で亡くなってしまわれた…
…そして、私も14の時に今から話すお話を聞かれさせたわ…母上からの、最後の願い
私は叶えることが出来なかったけれど、貴方なら…私より能力に恵まれているから、出来るはずよ
逃げ出して。…ここから、マリージョアから！！｣
｢っ私だって………幾度となく、逃げ出したいと思いましたが……出来ませんでしょう？！
強力なCP達は私たちに歌や舞以外の動きは教えさせませんし、
いつでも見張りが付いております…！｣
｢ええ、そう。でも…あと2年。貴方が……あの儀式を受けるまで
………私以外の誰かを、自分の子供以外の愛を見つ、けて。
お願い……あなたの娘の為にも…
もう終わりにして……っ！
っ…。真の女神へ…繋ぐのよ…｣
｢母上…？母上？！……だ、誰か！医師はおりますか？！！｣
…
…
｢母上、叶えて見せます
…貴方の為に
いつか宿る娘のために。
…従いなさい海よ、いつか生まれる真の女神の為に…！！！｣
プリシラ様がお逃げになったぞ…！！！
海を操るだけの彼女に何が？！
あの分厚い部屋の壁を波で突き破ったんだえ！
そこから波に乗ってお逃げになったそうな…！
｢はあ、はあ………！｣
｢お嬢さん…どうなされた？｣
｢…貴方は…？｣
…
…
…
｢初めまして…っ、私の宝物…セーラ…｣
ーーーーーーーーー
｢…っはあっ！！｣
解放された衝撃で前のめりになる。
｢A様！！｣
｢触るな…っ！！｣
｢…っ…何をご覧になったので？｣
｢…きっと、おばあ様の、記憶…随分と、縛っていたようだね｣
｢さあ…その時私生まれてませんから｣
｢減らず口を…！｣
…つまり、この流れで行くと、この人たちの本当の目当ては
真の女神を、独占すること。
…私を連れ戻すってことだよね…
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作者名：ひはる x他1人 | 作成日時：2017年12月4日 21時
