61話 ページ14
ーーーーーーーーーーー
部下2人と別れ部屋に戻ると、
1人には広すぎる部屋に、ポツポツと置かれるシンプルな家具達が待っていた。
｢…別にもう1人ぐらい置いても良いのに。｣
扉に寄りかかりながら独り言を零す
私の精神年齢が高すぎるのか、もう父さまや父さんとは一緒に寝ないし、部屋で過ごすことも少なくなった
完全な一人部屋なのだ。
履いていたブーツの紐を解きながら目線を、新たな部屋の住人、猫のロシーへ向ける
｢…来てくれてありがとう、ロシー｣
…
途端に、Aはまた激しい頭痛に襲われた。
｢っ…！」
ーーーーーー
金髪の男性
心配そうな顔
｢どうなされた…？｣
花束
白
｢……愛してる
プリシラ｣
ーーーーーー
｢はあっ！！…はあ、はあ
何？…また……覚えてない。忘れてしまった…｣
…次からはメモでもしておこう、忘れないうちに。
ノックが響いた。
｢A？いるか？｣
父さま？
｢うん、いるよ｣
扉を開けると、丸メガネの奥でニッカリ笑っている父さま。
｢？どうしたの？｣
｢誕生日プレゼントだ！！｣
父様は何かをばっと広げた。
｢こ、これって！！｣
｢…お前の成長の証だな｣
…羽織ったその 海 軍 コ ー ト は、
とても私に馴染んでいた。
｢…もうお前も7歳、少佐という位にもついた
あのマントじゃ形無しだろう、お前も立派な海兵なんだ！｣
私の顔を大きな手で包みながら、父さまは真剣な顔で言った。
｢小さな背にたなびくコートに誰もが振り返る
だが、見せつけてやれ、これがお前の実力だと。
実力で、お前はこれを着ている！
お前の誇りだ。｣
……父さまは気づいていたのだろうか
私が見栄を張っていたことを。
少佐という地位に就いてからも、
どこか、大きな歩幅で…顎を上げて…大きく髪を揺らしていたような、私の姿を。
兵士たちの言葉を気にしないふりをしていた私を。
｢ありがとう父さま。
あのね、私…
大将になりたい。
このコートが、もっともっと似合う海兵になってみせるから！｣
父さまはちょっと目を見開いて、また優しく細めた
｢…ああ、楽しみだ。｣
それにしても、本当に…
｢サイズぴったりだね…｣
｢ギルバート達に聞いた。｣
｢…へえ。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひはる x他1人 | 作成日時：2017年12月4日 21時
