49話 ページ2
穏やかな波を軍艦は行く。
身を包む青いワンピースは既にAのお気にいりだ。
ご機嫌な彼女だが、迎えに来た海兵達が自分を見て頬を染めているのには首を傾げる。
それにそんな彼らに1発ずつゲンコツを食らわせる父の姿もそれは不思議なものだった。
｢よく似合っているぞA、
俺からも、誕生日おめでとう｣
｢！｣
Aは正直修行に夢中で、自分の誕生日なんて忘れていた。
ただ自分の生まれた日で、特別なことはない。
さらに言えば忌むべき日だと思っていたのだが、いざこうして正面から祝われると心に沸くものがある。
｢…ありがとう…｣
少しの沈黙の中、Aは昨晩舞いながら考えてたことを思い出し自分の首元からペンダントを外す
その行動にガープは疑問を持った。
｢はい｣
｢え？｣
ペンダントを父に渡す。
｢なんだ、これはもうお前のもんだぞ｣
｢うん、そう。
自分のだから、自分のために使うの｣
ハテナの消えない父の顔を見つめてAは真剣な顔になる。
｢この貝殻には、元から私達海の一族の能力をおさえる力があると母さんは言ったのよね
…だから、何年たってもかまわない、この貝殻を研究して、力をもっと強くさせて
私専用の手錠を作ってほしい｣
声も出せない程に驚いたらしい父は、震え気味な手でペンダントを掴んだ。
｢何故だ！俺はてっきりお前は自由を望んでいるのだと、何故さらに枷を作らせる？！｣
二人の間を過ぎていく潮風は絶えずワンピースを揺らしている
変わらずガープの目を見つめた。
｢…この力にはきっと暴走だってありえるし
海軍のみんなに迷惑をかけることもあるかもしれない
もしもの時のために…お願い。
力を抑えるなんてもったいないことはしない、ペンダントは付けないわ
私は海兵よ、ぜんぶ自分の力にする！
強くなりたいの！！｣
Aは、無意識に『自由』を避けていた。
心のどこかでそれを求めていることを悟り、戒めようとしていたのかもしれない。
父は咄嗟にAを抱きしめた
｢…お前の覚悟を無駄にはしない｣
そのまま父の頬にキスをして、逞しい腕をすり抜ける。
放心してから、彼はまたいつものように笑った。
｢父さんは笑ってる方が良いよ！｣
すると、手の代わりに何かを頭の上に置かれた感触を感じた。
｢俺からの贈り物だ｣
それを手に取ってみると、もふもふした猫の縫いぐるみであると分かる
見つめて十数秒
｢…か
…ッかっ…わいい！｣
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作者名：ひはる x他1人 | 作成日時：2017年12月4日 21時
