デラシネ〔8〕【終わりのセラフ×ワートリ】

滅亡のヒ ページ3

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凄まじい轟音が空気を震わせる。


四方八方から火の手が上がり、そのせいで夜空は赤く染まっていた。


悲鳴。泣き声。絶叫。

あらゆる絶望を孕んだ慟哭が絶えず聞こえてくる。


────街は、少しの面影も残さず変わり果てていた。

店に突っ込み大破したトラック。ガス爆発を起こした自家用車。折れた電柱に押し潰されたバイク。


それらに目をくれず、私はただひたすら走った。子供たちのいる孤児院へ。


途中、何かが道の真ん中に転がっているのを見て立ち止まる。

炎が照らし出していたのは、───人。

口から血を吐き、そのあと車に轢かれたのか。
遺体は無惨な形───いや、肉塊だった。


人だったもの(・・・・・)を見つめ、再び前を向き走る。


────ミカ、茜。

どうか皆無事でいて。


この状況に対する驚きや混乱はあまりなかったと言える。

今日は25日のクリスマス。
────姉が、「とても怖いことが起こる」と言っていた日から2日。

何が起こるのかと思っていたが、まさかこんな、世界が滅び行くような────いや、実際、世界は滅亡していく途中だった。

でなければこんな大惨事、有り得ない。


疲れて立ち止まった。

あんなに綺麗だった夜空が、様々な絶望の音を反響させ、火に染まる。


(────このこと、だったのかな)


こんな寒い季節なのに、上がる火の手でひどく熱い。



滴る汗を拭い、もう一度走り出した。

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