第308話 ページ19
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「‥‥殺せるだろ。俺なら」
「嘘。無理だよ。
理由ははっきり言わないでおくけどね」
「‥‥クソ女」
「わー、今まで聞いたなかで一番の暴言」
彼が私を殺せないと思ったのは、実力的にもそうだがグレンのなかに柊真昼がいるからだ。
どんなに冷徹でも、姉はやっぱり優しかった。
そして、いつだって家族のために戦うグレンは、いざ私を殺そうと刀を向けたとき、無意識の内に僅かながらブレーキをかけるだろう。
姉とグレンのブレーキがかかった状態で私を殺せるわけがない。
「まぁ、そういうことだから。私は一足先に帰らせてもらうよ」
「いつだ」
「行けるなら今すぐにでも？」
「‥‥‥いいのか。あいつらに言わなくて」
「どうせまた戻ってくるつもりでしょ？ その時会えたら会えるよ」
あんたがついていながら誰かが死ぬとかないだろうしね、と加えると「俺の力を過信しすぎだ」と返ってきた。
「過信じゃないよ。
あんたならおめおめと誰かを死なせたりしない。少将たちほどじゃないけど、グレンのことはわかってるつもりだから」
だから頼んだよ、とばしばしその背中を叩けば「痛てぇ」と頭を小突かれた。
「お前のそういうところ、たまに残酷」
「え、なんでよ」
「無意識だからこそ余計にな」
ぐしゃぐしゃと髪を撫でてくる。
あーもう、あとで結び直さなきゃ。
「無理はすんじゃねぇぞ。俺が
「‥‥なに、なんか裏で約束でもしてんの」
「別にしてねーよ。けど、初めて会ったときに親代わりって言っちまったからな」
「なに勝手なこと言ってんのさ」
「間違ったこと言ったか？」
ここで「間違ってる」と言えない私も私だ。
ただ親代わりを肯定するのもなんだか癪である。調子に乗りそうだ。
「たまには親代わりっぽいことしてから言ってよ」
「なんだ？ 抱き締めてやれば良いのか？」
「なにそれ、どこが親っぽいの。きも‥‥‥」
「親子だったら普通にすることだろ」
「どう考えてもこの年頃でそれやってる人の方が少なくない？」
そんなくだらない言い合いをしばらく続けたあと、軽く伸びをして足を前に進める。
「‥‥‥朝まで待ってやったらどうだ。せめて優が起きるまで」
「そこまで待ってたら離れられなくなっちゃうでしょ」
思い立ったらすぐ行動、ってね。
首だけ向けて、少し笑う。
「あの子達のこと、よろしくね」
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夏向(プロフ) - 朝陽さん» こちらこそありがとうございます‥‥！！！ (2022年10月2日 23時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてました！ありがとうございます！ (2022年9月13日 23時) (レス) id: 2c0d85a97f (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - レモンはちみつさん» ありがとうございます！文章を褒めていただけると本当に嬉しくてすぐ調子乗ってしまいます(笑)気長に更新をお待ちいただけるとありがたいです…！ (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 仁奈さん» ありがとうございます！更新が本当に遅くて申し訳ないです…。気長にお待ちいただけるとありがたいです…！ (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
レモンはちみつ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！一気読みしてしまいました。ワートリも終わセラも大好きなので嬉しいです！！書き方もすごく上手くて感情移入してしまいました、書き手として尊敬します！これからも頑張ってください！更新楽しみに待ってます！ (2022年8月14日 22時) (レス) id: 95afc2042e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2018年4月2日 10時
