第304話 ページ15
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「‥‥‥‥」
グレンの実家だという屋敷の地下で、ガラスの向こうの、意識がない優を見上げる。
角や羽のようなものはまだ出ているままで、傍目から見れば完全に人間ではない。
ひたりとガラスに手をつき、「優」と彼の名前を呼んでみるが当然ながら反応はない。
───優は、《終わりのセラフ》の実験体としては限りなく成功に近い被験体なんだろう。
コントロールもほとんどできている。
キ・ルク討伐作戦でもグレンを庇ったことから、おそらく優自身の意識もあるはずだ。
「‥‥‥どんどん、道から外れてくのね。あんたも」
姉が姉なら、弟も弟なのだろうか。
「‥‥‥この世界に、道から外れてない奴なんていないよ。お姉ちゃん」
すっと背後に現れたミカは、静かな口調でそう言った。
「誰しも皆どこかおかしい。今じゃそれが普通なんだよ」
「‥‥‥それもそうか」
ただ、優ちゃんのは度を超してるけど。
ミカは愚痴を吐くかのように呟き、眉を潜めた。
「‥‥お姉ちゃんも、もし実験が成功したら、こんなんなっちゃうの」
「そうかもね」
「優ちゃんみたいに、人間にいいように利用されて」
「‥‥‥‥」
「最終的には、一体どうなる？」
「‥‥‥さぁ、ねぇ。死ぬかな？」
私は、私自身に存在する《
まだその段階ではなかったし、今実験は一時休止中だから、しばらくその瞬間は来ないだろう───とは思っている。
だけどその予想を簡単に越えてくるのが「禁忌」で、いつその時が来るかわからないのも事実だ。
───もし、優みたいに慣らし運転をしないまま解放したら、私はどうなる？
意識のないまま暴走して、殺される？
───あり得ない話ではない。
「もうやめてよ。優ちゃんだけでも耐えられないのに」
「‥‥‥悪いけど、それは、無理かな」
「“家族のため”だから？」
「‥‥‥家族というか、“仲間”かな」
「‥‥‥一瀬グレンたちのこと言ってるんじゃないよね、それ。多分」
「‥‥‥、うん」
あんたたちとはまた別の、大事な人間。
ミカはそれに対して、「‥‥もっと自己中心的でもいいんじゃないの」と不満そうに呟く。
「私は至って自己中だよ。
それこそ、ここにいる誰よりもね」
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夏向(プロフ) - 朝陽さん» こちらこそありがとうございます‥‥！！！ (2022年10月2日 23時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてました！ありがとうございます！ (2022年9月13日 23時) (レス) id: 2c0d85a97f (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - レモンはちみつさん» ありがとうございます！文章を褒めていただけると本当に嬉しくてすぐ調子乗ってしまいます(笑)気長に更新をお待ちいただけるとありがたいです…！ (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 仁奈さん» ありがとうございます！更新が本当に遅くて申し訳ないです…。気長にお待ちいただけるとありがたいです…！ (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
レモンはちみつ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！一気読みしてしまいました。ワートリも終わセラも大好きなので嬉しいです！！書き方もすごく上手くて感情移入してしまいました、書き手として尊敬します！これからも頑張ってください！更新楽しみに待ってます！ (2022年8月14日 22時) (レス) id: 95afc2042e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2018年4月2日 10時
