デラシネ〔8〕【終わりのセラフ×ワートリ】

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「おかえり〜」

「おう槍バカ。相変わらずバカやってるか」

「帰って早々辛辣だな」


「ほらよ」
労いのつもりなのか自販機から缶を取り出し投げてきた。

さんきゅ、と返しプルタブを引いて口をつける。
こんなに美味かったっけ、と思うほど缶ジュースは久々に飲んだ。


「元気そうにしてたか」

「‥‥‥まあ、そこそこ」

「そこそこかよ」

「いろいろ、あんだよ。Aにも」


ふぅん、と米屋はもう一つの缶を開けて呷る。
「そんな大変だったのか」


大変、なんて言葉じゃ今回の遠征について表せない。

いろいろなことが判明し、起こって、受け入れて。
それでも、行ったことに後悔は一片もなかった。


「Aのこと、ちゃんと知れたし」

「‥‥‥まぁ、ずっと謎だったしな」


米屋は多分迅さん辺りからおおまかな事情を聞いていたのだろう。

Aが「向こう」に行ったこと、おれたちだけが帰ってこれなかった理由は既に知っているようだった。


「‥‥‥あのさ、」

「あ、別に話さなくて良いからな？
タイミングがあったら俺 本人から聞くから」

「‥‥‥そう、か」

「おうよ。
他人の事情をそいつ以外の口から聞くのは違うからな」


普段バカのくせにこういうところはきっちりしている。バカのくせに。(重要だから2回言った)


「あとはAが戻ってくんの待つだけか〜。いつになるんだろうなぁ」

「さあな。
‥‥‥けど、おれはいつだっていいんだよな」

「ふぅん？」


会えないのは辛い。
だがそんなのは些末なことだ。Aが二度と戻ってこれなくなるのより、よっぽど。

きちんと生きていてくれてれば、次会うのがいつになろうが別に構わないのだ。


(‥‥‥無事に、なんていかねーかもしんないけど)



仮になにかがあれば、あの「声」の主───鬼が、彼女を守ってくれるだろう。



「おーい、久々にランク戦しよーぜ」

「望むところだ槍バカ」



おれはその時まで、いつものようにバカやってAを待っていよう。

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