デラシネ〔8〕【終わりのセラフ×ワートリ】

第298話 ページ5

.


第5位始祖を殺す。

改めて聞くとやはり正気の沙汰ではない。
そもそも吸血鬼が一緒に行動している時点で考えられないことなのだけど。


「‥‥‥グレン、それ本気？」

「本気だ」

「馬鹿じゃないの」

「あぁ馬鹿だな」

「‥‥‥‥。
‥‥‥わかった、わかりました。はい。君の言うとおりにするよ」


これ以上何を言っても無駄だと思ったのか、少将はそれはそれは深いため息をついて渋々賛同した。

元より従者2人はグレンの決定に従うだろうし、五士・十条両大佐は少将が決めたらそれに続く。


「で、そのためには何をすればいいの僕たち」

「作戦実行は3日後。切り札(優)を使って奴を倒す。そのためにひたすら修行だ」


「はい、質問」

「何だ」

「私も当然陣形に加わるのよね？
とすると私は2つの訓練が同時進行になるって認識で合ってる？」

「そういうことだな」

「馬鹿なの？」

「言ってろ」


顔をしかめて不服の意を示すが「お前が抜けたら足りない戦力がさらに足りなくなる」と言われてしまい、何も言い返せない。

仮に私抜きで戦って死人が出たなんてことになったら夢見が悪いし、何より自分の我儘で仲間を死なせたくはない。

「はあ〜ぁ、新宿に帰りたい」

「向こうにいてもろくなことにはならなかったぞ」

「そうだけどさ」

軍上層同士の派遣争いなんて興味ないからこっちにいる方が断然ましなのだろうが、《天使》の抑制と5位殺しのための訓練なんて超ハードにもほどがある。

「各々自分ができることを考えておけ。明日から休みなしだ」

自分ができること、か。
私は一体何ができるだろう。
抑制は鬼呪促進剤を使えばなんとかなるはずだ。あまりドーピングに頼りたくはないが致し方ないと割り切ることにする。

一番心身の負担が大きいのは、優だ。
私ごときがこんなことでうだうだ言っていられない。



.

第299話→←02.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す