第237話 ページ9
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規則正しい電子音が聞こえる。目蓋を押し上げればほのかな光が目を刺激して、でも苦痛ではなかったので光の元を探す。それが窓から差し込む月の光だと気づいて、次に自分は何をしていたんだっけ、と考える。
少し身体を動かすと右肩が鋭く痛んで呻く。布団に手をついた拍子に右手もじくりと疼いて、そこを見ると掌に包帯が巻かれていた。服も変わっていて、まるで病院着だ、と思い、そこでようやくおれは一部始終を思い出した。
「よう」
「‥‥っえ、あ」
跳ねた心臓を抑えながら横を見上げると、一瀬さんが壁に凭れ腕を組んで立っていた。「怪我させて悪かったな」
「‥‥別に、あんたが悪いわけじゃない」
「まあ、そうか」
「‥‥あの、太刀川さん達は」
「寝てる。さすがに四徹は堪えたみてぇだな」
顎で示された先には他の患者用ベッドがあり、3人がそこで眠っていた。歌川はソファーで横になっている。四徹ということは、おれが襲われてから少なくとも4日は経っているということか。
というか、なぜ彼がここにいるのだろう。意識が朦朧とする中確かにこの声が聞こえた気がしたが、それが死にかけだったから聞こえた迅さんの声の幻聴かもしれないということも否定できなくて。それほど2人の声は酷似している。
「Aがおまえらのこと頼んでったからだ」
「‥‥そうだ、あの、Aは！」
「落ち着け。おまえがここに入院してすぐに来た。事情も知ってる。‥‥今どこにいるかは知らねぇが」
「最後に、来たのは」
「入院した当日の1回きりだ」
一瀬さんでさえ彼女の居場所を知らないということに、漠然とした不安を覚える。人質、と柊暮人は言っていた。つまりおれが重傷を負ったことを利用して何かをするつもりなのだ。
平気で他人を殺そうとする人間が人質を取ってすることがろくでもないことだろうというのは、考えなくたってわかることだ。
「‥‥結局、これかよ」
「これ、っつーと」
「何も知らなくて、おれの見えないところで策略がはたらいてて、大事な人間すらまともに守れなくて、逆に守られてる。惨めで情けなくて、無力な自分が嫌になる」
ぐっとシーツを握りしめると、不意にぐしゃりと頭を撫でられた。は、と見上げると、その視線を落とすように力を込めてさらに撫でられる。
「あ、あのっ」
「そうだな。無力で弱い自分は、惨めで情けねぇよな」
その声音に計り知れない感情が見えて、この人も同じなのか、と錯覚してしまいそうになった。
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じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
