第232話 ページ4
.
「よおA」
「何グレン。私これから仕事あるから」
「尋問はどうだった？ 相変わらず脅されたか？」
「ねぇ、話聞いてた？」
新宿防衛壁の外で隊員達が出てくるのを待っていると、現れたのは今日も通常運転のこの男。彼は、くぁ、と大欠伸をしながら防衛壁に凭れかかる。
「大層な口聞かれたって言ってたぞ」
「ムカついたんだから仕方ないでしょ」
「おまえって案外向こう見ずだよな」
「うるさい」
「反抗期かよ」
私はいつだって柊に対しては反抗期である。命令であれば従うが心酔しているわけではない。心酔できるわけがないだろう、あんな家。
「俺にはどうなんだ？」
「は？」
「反抗期。来るのか？ 一応親代わりなわけだし」
「誰が父親？」
お、来てるのか？となぜかにやにや笑う。きもちわる。その言葉はもしかしたら口に出ていたかもしれない。保護者ではあるかもしれないが、父親ではないだろう。
反抗期もくそもあるものか、と思った。出会った頃からこんな感じだろうに、と溜息をつく。
暫くの間、沈黙が辺りを支配した。今更その沈黙が気まずくなるほどの仲でもないが、グレンはそれを破った。
「───お前は、俺があいつを裏切れと言ったら、そうするか？」
「‥‥何、急に」
「俺に反抗すんのかってことだよ」
「‥‥‥」
これは試しているのか。それこそ「あいつ」の命令で。疑念を持ってグレンを見れば「別に試してるわけじゃない」と言った。
「‥‥まぁ、理由によるよね。確かに私は嫌いだけど、もしその頼みが鬼に憑かれてのことなら、聞かないよ」
「正気なら聞くってことか」
「そりゃね。勝ち目どうこうは置いといて」
柊をよく思っていない人間は、軍においても少なからずいる。シノアや深夜少将が代表格だと思っているが、グレンもグレンで結構なアンチ柊だと思う。
「俺が奴らと揉めるって言ったら、おまえはついてきてくれるのか？」
「‥‥どうしたの、今日は随分と弱気に見えるけど」
「別に。確認だよ確認」
「ふーん‥‥。
───グレンのことはちゃんと家族として認識してるよ」
「‥‥‥」
「だから、その家族の頼みなら何だって聞いてやるから安心しなよ」
そういうのが家族ってもんでしょ、と付け足すと、グレンは黙ってぐしゃぐしゃと頭を撫でてくる。結んでいた髪が乱れるのを感じ、ちょっと、と抗議する。
「‥‥なんか変」
「そうか？」
「変だよ。頭打ったの？ それとも妙な薬飲んだ？」
「ほざけ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
