第227話 ページ47
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「お前は勘違いしている。殺そうと思えば、俺は殺す。後ろの人間もお前も、そうそう時間はかからずにな」
「そうですか。5人を殺すのなら、まずは私を殺してからですよ」
そう、親指で柄を持ち上げる。
金属音とともに刀身の一部が露になり、黒い霧が溢れ出た。
その禍々しさに、ごくりと生唾を飲み込む。
「───使うだけ使い倒して、壊れたら捨てるだけのことだ。これからもそれは変わらない」
「せいぜい手の平で踊らされてろ、ってことですか？ 私がそんな操り人形みたいな役回りを素直に受け入れるとでも」
「お前はグレンに似ている。だから操り方も心得ている」
「そうですか。何でも自分の思い通りにコトが運ぶと思ったら大間違いですよ」
「その言葉をそのまま返す。子供は黙って大人に従っていろ。いくら権限があっても軍では柊が絶対だ」
その瞬間、Aから一気に殺意が噴き出すのを感じた。これはまずいのでは、と思った時、金髪の女が刀の柄に手をかけた。
「その子供にこんな大層な地位を与えたのはあんたでしょう」
地獄の底を這うような、聞いたことのない氷点下の声に肌が粟立った。表情は見えないが、確実に冷徹な目をしているだろう。
「‥‥もう用は済んだ。
お前たちは今日から渋谷の官舎に移れ。新宿はこちらで片付けさせる」
Aは黙っておれたちに外へ出るよう促した。最後に彼女が扉を閉める直前、「百夜」と男が呼び止めた。
「お前はさっき、“人間として普通”だと言ったな」
「それがなにか」
「‥‥人間でないお前からその言葉が出るとはな」
「人間でないのはお互い様でしょう。その度合いが私は他より少し違うだけです」
「答えになってないな」
「そもそも質問でしたか？」
Aは男の答えを聞く前に、大きく音をたてて扉を閉めた。
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「無駄に煽ってしまってすみません」
建物を出てから、Aはそう謝罪した。さっきまでの雰囲気は消えていて、いつも通りである。その変わりっぷりが、少し恐ろしかった。
「‥‥百夜おまえ、上官に向かって殺されたいのかって」
「すいませんねぇ、口が悪いもので」
へらっと笑った彼女は、本当に先程のと同一人物なのかと疑いたくなるほどである。
さっきまでいた建物を見上げ、ため息をこぼした。この組織の暗部を見てしまった気がして いたたまれないのだ。
あの男がここでの2番目の権力者なのだと考えると、随分と息苦しい場所だと思った。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
