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「‥‥迷った」
入隊から1週間、本部の道を覚えきっておらずまだ危うい。しかも同じような道ばっかりで、進んでいるのかそれとも同じところをぐるぐると回っているだけなのかもわからない。
途方に暮れて歩き回っていると、道の先に見つけた背中。
正隊員か訓練生かわからないが、この際そんなのどうでもいい。早くポイント稼ぎしたい。その一心で、「あの！」と声をかけた。
「‥‥あ、きみは」
振り返ったのは、この前の女子隊員。たしか名前は「百夜」さん。
「ねえ、この前入隊してきた人だよね？」
「そ、そうですけど」
「やっぱり」
なんでこの人が、大勢いる新隊員の1人にすぎないおれのことを覚えてるんだ？
その疑問は、次の言葉で解決した。
「対近界民戦闘訓練で34秒出してたよね」
「見てたんですか？」
「うん。‥‥ねえ、今時間ある？」
唐突に言われたその言葉には一体どんな意味があるのか。
この後はひたすらポイント狩りをしようと思っていたのだが、正隊員の中でもトップレベルであろう人間にそう言われて「ありません」と答える者が果たしているだろうか。
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「改めまして百夜A、14です。よろしく」
「い、出水公平、同じく14です‥‥‥」
無意識のうちに年上だと思っていたのだが、衝撃の同い年。「敬語いらない」という言葉に、恐る恐るタメで話す。
「‥‥で、おれに何の用で？」
「いや、特にこれと言った話はないんだよね。私が出水くんに興味があっただけで」
じっとおれの目を見てくる。
ここまで見つめられるのは慣れてないので、ふっと逸らしてしまった。するとその表情に僅かな落胆が浮かぶ。何だか悪いことをしてしまったらしい。
「まあ、同い年だし仲良くして欲しいな。級とか関係なく。同学年の人って少ないし、ね？」
「いやいや、こちらこそ！」
彼女はこれから任務があるらしく、「誘っておいてごめんね」とその場はお開きになった。
「じゃあ、
「おう。‥‥ん？」
またね、とは。
いや、一応友達になったらしいし、きっとそういうことだ、と無理やり言い聞かせた。
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数日後、正隊員となったおれは「太刀川さん」にスカウトされ、その人の後について行ってようやく、その言葉の本当の意味を知ることになる。
◇
友人からチームメイト、チームメイトから想い人。
おれの中でその存在が少しずつ変わっていった彼女は、
間違いなく、おれにとって大事な人間だ。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
