道の交錯と邂逅 ページ40
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──“さすがに、覚えられてないか”───
出会って最初に持った思いは、少しの落胆だった。
◇
「太刀川さん太刀川さん、今日何の日か知ってます？」
「お前との定期試合日」
「何の日ですかそれ。捏造しないでください」
ボーダーに入隊して1年強、太刀川さんと出会って約10ヶ月ほど。
半年と少し前くらいに太刀川さんに「俺の作る隊に来い」と勧誘され、それからというもの一緒にいる(というか向こうが勝手についてくる)ことが多くなった。
「入隊日ですよ、正式入隊日」
仮入隊だった者達が晴れて訓練生として正式に入隊する日。
たまに掘り出し
「私達も探しに行きましょうよ。オペレーターも戦闘員も隊作るには必要でしょ」
「そうだなぁー。面白そうだし別に行ってもいいけど」
.
───というわけで来た、仮想訓練室。
白い訓練生用の隊服を着てバムスターを倒す新人達をぼんやり眺める。
どの記録も大体1分から1分半という、あまりぱっとしない状態が続いている。
「今回のレベルはこんなもんだろうな」と太刀川さんが言った。
そもそもこの人の基準で測ったら勧誘できる新人など1人も残らないのだが、私や太刀川さんに合わせられる隊員を確保するにはそれなりに才能のある者でないと難しい。
今回は収穫なしかな、と半ば諦めモードで訓練室を見下ろす。
「！」
たった今訓練室に入った男子新隊員を見て、思わず身を乗り出す。───あの人は。
「うわ、すっげートリオンだなあいつ。‥‥って、おい、落ちるって！」
太刀川さんが、夢中になりすぎて今にも下に座るC級の上に落下しそうになる私の腕を引き戻す。
「あのC級、絶対のびるな」
「‥‥そうですね。トリオンも多いみたいですし‥‥。記録も頭一つ抜けてます」
どうやらこの人は私が才能のある新人を見つけてあんな状態になったと思っているらしい。まあそう思い込んでるなら別にいい。
C級の間にざわめきが広がる。訓練室から出てきた彼は、色素の薄い髪色、猫を思い起こさせる目。
───ほんの1年前、私を警戒区域で見つけた少年に他ならなかった。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
