第206話 ページ21
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「こいつら、日本帝鬼軍の制服着てないぞ」
「だが吸血鬼ではない。どちらにしろ人間なら使いようがある」
日本帝鬼軍、という言葉に拘束された五人は目を見開く。その反応を見逃さなかったリーダーの吸血鬼は、「心当たりがあるようだな」と言った。
「おまえらは、その組織の仲間か？」
「‥‥違う」
「なら、どこの所属だ。言え」
「‥‥どこにも所属していない。が、その証明はできない」
「‥‥そうか。なら、我々の食糧になってもらう」
男は、その言葉に眉をしかめた。先程から家畜だとか使いようとか、明らかに自分たちを下等生物かのように扱う吸血鬼への嫌悪感だった。
「‥‥俺達をどこへ連れて行く」
「我々の集落だ。そこでおまえたちには、死ぬまで血液を提供してもらう。殺されることはないのだからいいだろう？」
男が眉間の皺を一層深くした時、少し離れた場所で拘束していた吸血鬼が「あ」と言う。その下でねじ伏せられていた男も、周囲の吸血鬼たちも、会話をしていた二人を除いて全員が同じものを見、少なからず反応した。
ふわりと、音も気配もなく地面に降り立つ一人の黒服。茜色の裏地が翻り、それが重力に従って落ちるまでの、刹那。黒い光が一閃して、吸血鬼の首と胴体が離れる。「え」と言って、ばさりと装備だけが地面に落ちた。
急に解放された男は、すぐに起き上がって事態を把握しようとした。
フードを目深にかぶった女が黒の刀を持って立っている。そしてその背後に、同様の服を着た男達が次々に降り立った。
「───“
女は呟くと刀を振った。ひゅ、と横に空気が切れて、その直後吸血鬼の肌に墨汁を落としたような染みが浮かび上がる。
「‥‥が、あ、なんだ、これはっ‥‥」
急激に苦しみだした吸血鬼は拘束していた手を離して首を掴む。突然のことに解放された男達は、食い入るように地面に転がった吸血鬼を見つめる。
そのうち苦しむ身体から黒い煙が発生して、あっという間に全身を覆った。
そして斬られた吸血鬼と同じように、残りの吸血鬼は装備だけを残して同時に消滅し、煙も霧散した。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
