03. ページ15
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目的地に到着した瞬間、ぱっと手を離された。
女子の扱い方がこの人は絶対おかしい。まぁ、別に今更女扱いを求めているわけでもないのだけど。
「ほら、飲め」と差し出されたジュース。
意味がわからなくて考えること数秒、賄賂しか思いつかず「‥‥何をご所望ですか」と尋ねた。
「違う違う。付き合ってくれてありがとなって意味だよ」
ありがたく飲め、と笑う、戦闘狂。
‥‥本当に、慣れないな。こういうの。
どうやらこの人は、特に意味もなく私に飲み物を奢ってくれたようだった。その裏表のない単なる厚意が、私にはむず痒かった。
「‥‥ありがとうございます」
「ちょっとは愛想よく笑ってみろよ」
「‥‥愛想なんて必要ないでしょう」
すると、ぱっと手中の紙コップを取り上げられ、両頬を手で掴まれる。
「必要とか必要じゃねぇとか、そういうのは関係ねーの。ちっとは楽しそうにしろよ」
そのまま軽く引っ張られる。地味に痛い。離せ。眉間に皺が寄るのがわかった。
そうこうしている間に、太刀川さんは私の頬をほぐすように指を動かす。傍から見たらかなり不審者だ。
「ほら笑えー。表情筋固まんぞ」
「痛いです」
「じゃあ笑えよ。
‥‥何があったかなんて聞き出すつもりはないけどよ、感情押さえつけて、本心閉じ込めて、一体何の得がある？ 何もねーだろ？
ぶつけろよ、思ったこと全部、俺に。
じゃないとお前の飲みかけ飲むからな。間接キスになっちまうぞー。いいのかぁ？」
ぐいぐい引っ張っては揉むものだから、頬にじんじんと鈍い痛みが走る。
目立つし鬱陶しいしで、渋々口を開く。「‥‥戦闘バカ」
「うるせー」
「思ったことぶつけろって言ったじゃないですか」
すると「そういうことじゃねーわ」と、額にデコピン1つ。本当にこの人は掴み所のない人だ。
「‥‥はは」
出会い頭にランク戦に誘われ、負けても勝っても満足するまで解放してくれない。ズカズカと他人の中に踏み込んできて、デリカシーもない。
───なのに、どうしてこうも、楽しいなんて思ってしまうのか。
「よっしゃ、試合するか！」
「嫌です。さっきやったでしょ」
◇
───戦闘狂隊長、もとい太刀川慶。
この人が私の
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
