第200話 ページ11
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「‥‥お前、好きな奴でもできたのか？」
「は？」
藪から棒に何を言うんだこの男は、と怪訝な顔で見上げると、いつもと変わらぬ仏頂面。脈絡がないにもほどがあるだろう、と視線で詰る。
「何でその話になるの」
「顔つきが変わったなと思ったから」
「‥‥できたって言ったら、なんなのよ」
「そいつを査定する」
「いつから私の父親になったの」
「俺はお前の命の恩人、親代わりだ。それくらい当然だろ」
「戯れ言と思って聞き流すね」
結局何なんだ。グレンは何が聞きたい。そんな視線を送ると、がしがしと髪をかき、しばらく黙る。
「‥‥特に意味はねぇ。ただ、お前もそんな年頃になったのかってだけだ」
ますます父親じみたことを言う。柄にもなく感傷にでも浸っているのだろうか。4年ぶりに会って、確かに私はいろいろ変わっているだろう。あの頃13歳だった私はいくらか背も伸びているし、雰囲気ももしかしたら違うのかもしれない。
「‥‥ねぇ、私、自分でも気づかないうちにどっかずれちゃったりしてるのかな」
「‥‥意味がわからない」
「4年も、価値観も考え方も世界の常識すらも違う場所で生活してきた。だから、この世界にとって私は異端なものになってないかなって」
「不安か」
「‥‥というより、心配かも。だって、世界からあぶれるのって結構しんどいんだよ」
4年前の私はまさにそうだった。突然ぽいっと知らない場所へ放り出されて、それなりに苦労したのだ。
あの時と違って元々生きてきた場所なのだから、そんなのは杞憂かもしれない。それでも4年という月日は長く、「向こう」での生活は濃かった。無意識のうちに何かが変わっていてもおかしくないのだ。
「暮人に会ったんだろ。なんて言われた」
「その時は、特に何も。事情聴取されて、新しい配属先言われたくらいかな。監視はされてるけど」
「ならひとまずいつもどおりに見えてるってことだろ。監視はあいつの十八番みたいなところあるし」
「ただのストーカーだよそれ」
ふ、と小さく笑うとグレンは私の頭を乱雑に撫でた。
仲間を殺したというのは嘘なんじゃないかというくらい、その手はかつてと同じだった。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
