第190話 ページ1
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シノアたちの話によれば、軍を離れこの小さな漁村に来たのは1ヶ月前らしい。その理由を聞いて、《柊家》への嫌悪感が増した。性懲りもなく、また世界を滅ぼすつもりか。
力一杯拳を握った。爪が皮を破り、血が垂れる。ぱたりと落ちたソレが地面に染みをつくるのを見て、思わず自虐的に笑った。
(‥‥‥私も、同じか)
実験体とはいえ、わたしもその危険因子の一部なのだ。人のことなど言えない。
「百夜大佐は、これからどうするのですか」
「鳴海さん、私の方が年下なのでその敬語やめませんか」
「いえ、階級も強さも私なんかよりずっと上なので」
彼はどうやら頑固な性格らしい。その敬語を外す日は遠そうだ、とぽりぽり頭を掻く。年上から敬語を使われることに慣れていないわけではないが、この四年間のせいかなんだか違和感がすごいのだ。
「私はこれから新宿に向かおうかなと。一応帰還報告を」
「なっ‥‥姉ちゃん本気かよ！」
「本気も本気だよ。ここは大阪だし私の試算だと休みながら行っても3日以内で行けるかな〜」
「そういう問題じゃないですよAさん。軍は今‥‥」
「言いたいことはわかるよ。でも私はまだ軍の人間だし、今後の動きを決めるためにも中将やグレンと接触した方がよさそうだし」
シノアたちから一連の流れを聞いていても、それは1か月前の話だ。状況は刻一刻と変わっているだろうし、この世界で生き残るためにどう振舞うかをもう一度考え直さなくてはならない。
それにこのままシノアたちと行動を共にしてグレンたちと会ったら、いろいろややこしくなるだろう。そのつもりはなくても報告をしに来なかったというだけで面倒なことになるのは目に見えている。
「‥‥気を付けてね、お姉ちゃん」
「ん、大丈夫」
安心させるように微笑むと、ミカも少しばかり表情を和らげた。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
