検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:144,497 hit

第218話 ページ35

.


「‥‥だ、誰か来ましたよ」

「落ち着け歌川。百夜の言いつけを忘れたか。無視すればそれで済むだろう」

「そ、そうですよね‥‥」


しかし1分と経たないうちに、再びピンポーン、と。
居留守の心苦しさを抑え、再び無視を決め込んだが。ピンポンピンポンと何度も連打する音が聞こえる。その間隔はだんだん狭くなっていって、訪問者は大分苛ついているようだった。

「うるさい‥‥」と菊地原が耳を押さえ呻く。強化聴覚(サイドエフェクト)のせいでおれたちよりもはるかに大きな音で聞こえているだろうから、その苦痛に同情した。

「‥‥覗き穴から、見てみます?」

「放っておけ。そのうち諦めて帰るだろう」

けたたましいインターホンをBGMとして言われても説得力がない。菊地原も哀れである。眉間に皺が寄って今にもキレそうな顔だ。

「‥‥やっぱりおれ見てきます」

「出るなよ」

「わかってます。誰なのか確認だけ」

廊下へ出ると後ろから太刀川さんと菊地原、歌川が様子をうかがう気配。恐る恐る小さな穴を覗き、ドアの向こう側に目を凝らす。

まず見えたのは黒い制服。階級章っぽいのもついている。
これ偉い人かなんかじゃないのか、とさらに目を凝らすと、突然「ガチャリ」と鍵の開く音。‥‥え、鍵の開く音?


「───どわっ!?」


突然外側に開いたドア。支えを失った俺は当然のごとく前に倒れ込む。いててと顔をあげ、来訪者の顔を見て「あ」と声が漏れた。

「‥‥なんだぁ、お前ら、そのアホ面。つーかいるんならさっさと出ろよ」


「‥‥“一瀬グレン”」
菊地原がぼそりと呟いたのが聞こえた。

第219話→←第217話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (83 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
119人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます!6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください! (2023年2月11日 0時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました!6のパスワード教えて欲しいです! (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夏向 | 作成日時:2017年9月7日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。