第209話 ページ24
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グレン、と呼ばれていた男はくしゃくしゃと髪を掻いて、近くにあったパイプ椅子にどっかりと腰を下ろす。
こちらに身体を向けるわけではなく、でも視界におれ達全員が入るように位置取って、面倒そうに溜息をつきながらすぐ横のカウンターに頬杖をつく。
そのカウンターは窓口のようになっていて、通りかかった一人の軍人が「お疲れさまです。これから任務ですか？」とガラスの向こうから尋ねた。
「いや。お守り押し付けられただけだ」
「お守り、ですか。‥‥ああ、もしかして百夜大佐に？」
この前戻られたばかりだと聞いたんですが相変わらずですね、と軍人は微笑んで、一言挨拶をしてから去った。
「なぁ」
と、太刀川さんが問いかける。「あんた、百夜の上司か？」
ちらりとこちらを見て、彼は「保護者みたいなもんだ」と答えた。「あとはあいつの命の恩人だな」
「じゃあ、百夜の敵ではないんだな」
「少なくとも、今の俺はな。生成りを安全基地にされても困る」
含みのある言い方だった。まるで、これからそうなる可能性があるというような。
「あんたの名前は？」と太刀川さんが問う。彼は少々うんざりしたように「一瀬グレン、24だ」と言った。「おまえは」
「‥‥太刀川慶、ハタチだ。あいつの‥‥百夜の、上司」
ほぉ、と一瀬さんは初めて興味が湧いたような顔をした。少し口角が上がって、上司ねぇ、と呟く。「おまえ、強いのか？」
「は？ ‥‥うーん‥‥この世界じゃ、どうだろうな」
おれ達は吸血鬼に対抗する手段を持っていない。近界民相手なら自信を持って強いと言えるが、そもそも専門とする敵が違うのだからその問いに対して強いとも弱いとも答えられなかった。
「同じ武器を使えば、勝率は五分五分だな」
「へぇ」
一瞬好戦的な光が彼に灯った。あぁ、なんだ。この人も同じか、と思った。
「一つ聞きたいことがある」
ずっと黙っていた風間さんが口を挟んだ。
返事はないが彼は質問の主に視線を向けたので、聞いてやってもいいということだろう。
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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます！6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください！ (2023年2月11日 0時) (
レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました！6のパスワード教えて欲しいです！ (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年9月7日 19時
