夏の記憶(及川徹) ページ7
「Aちゃん!いい所にいた!」
『なんですか及川さん』
昼休みに担任から呼ばれていた私は、用を済ませて職員室を出ると、男子バレー部の主将である及川徹に捕まり、なぜか生徒指導室に連れていかれた。
『私何にもしてないですよ』
「いや!夏休みの部活の予定!仮で決めておいたから目通して欲しくて!」
そう言ってほとんどの日に色が塗られた予定表を渡された。
『……国見が泣きますよ』
「国見ちゃんは泣かないよ☆」
『じゃあ私が泣きます』
「泣かないで!」と言う及川さんを横目に、私は予定表にサッと目を通し、練習時間等を確認した。
『…多分大丈夫ですね。これコピーしておけばいいんですか?』
「うん!お願い☆」
『語尾に星つけるの辞めてもらっていいですか?』
「え!無理だよ!!」
及川さんに呆れつつ、持っていたクリアファイルに予定表を入れる。
『用事は済みましたよね。私行きますね』
「ちょっと待って!!」
私が及川さんの横を通り抜けようとすると、腕を掴まれた。
『なんなんですか一体』
「8月19日!部活オフにしてあるんだけどさ!」
『そうでしたっけ』
私が予定表を出して確認しようとすると、「そうなの!!」と及川さんは強気に言った。まあそうなのかと思い予定表を再度しまうと、及川さんは
「その日、俺とデートしませんか!」
と言ってきた。
『はい?』
「デート!しよって!」
『デートとは…?』
「そこから…!?」
暫くデートの説明をされた。
「で、その日は夏祭りの日なの!」
『そう言えば…クラスの子が花火が上がった瞬間になんかすると永遠に結ばれるとかって言ってましたね……』
「そう!俺はAちゃんと結ばれに行きたいの!」
『はあ?』
何を言ってるのかさっぱり分からなかった。
けれど私は、特に何も考えずに
『まあいいですよ』
と答えていた。
及川さんは喜んで飛び跳ねていたが、私は追いつけずにいた。
ーー
「 ねえ、夏祭りのジンクス知ってる? 」
「 あ!知ってる知ってる!
花火が上がった瞬間に【キス】すると
永遠に結ばれるってやつでしょ! 」
ーー
及川さんはひたすらにずるかった。
私に柔らかな口付けをして、耳元で「好きだよ」と囁いた。
私だって好きだった。
ずっとずっと、好きだった。
あれから数年が経ち、私も来年には"及川さん"になる予定だ。
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まる - 泡姫さん» お時間かかっても全然構いません…!!むしろリクエスト叶えていただけるだけですごく嬉しいです…!続編をお気に入り登録しておきます…!!!!!! (2月18日 15時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - まるさん» わー!リクエストありがとうございます!久しく書いていないため少しお時間頂いてしまうかもしれませんが、私なりに書かせていただきます!!現在こちらの作品は続編の方を更新する形になっておりますので、よろしければそちらをお気に入り登録してお待ちください! (2月18日 12時) (レス) id: 5951de0be4 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作者さんにリクエストが…。銀.島.結.で過去の辛かったことを銀が全部包み込む…みたいなお話を書けたりしますでしょうか…?(語彙力なくてすみません…) (2月18日 11時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジさん - 好きで愛してるわ作者さんじゃなくてさ、作者様じゃね?(は?何言ってやがるオレンジさんや) (2022年7月10日 21時) (レス) @page48 id: 0e3c42be20 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - 愛菜さん» そういう素直で分かりやすいお言葉が1番嬉しかったりします……今後も緩く書いていきますので時々キュンとしに来てください…!(ちなみに現在次話執筆中です…) (2021年11月6日 11時) (レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月1日 21時