ハイキュー短編集【ハイキュー！！】

優しい口づけ(孤爪研磨) ページ4

『あっ、また負けた』

「今回は惜しかったね」


幼馴染の孤爪研磨とはゲーム仲間でもある。

今は某大乱闘で対戦しており、既に何試合もしているが未だに勝てていない。

今日は研磨の部活がオフだったのもあり、学校終わってからずっとこの調子でゲームをしている。


『そういえばクロどうしたの？』

「知らない。今日朝以来会ってないし」

『朝は一緒だったもんね』


そう言いつつまた試合を開始する。

相変わらず私は勝てそうにもない。


『研磨ってゲームしてない時何してんの？』

「え、してない時……？」


考え込んではいるものの、手はしっかり動いている研磨。内心「どんだけゲーム優先やねん！」と突っ込んでしまった。


「ゲームの作戦練ったり、対策考えたりしてる……かも」


研磨がそう言うと、画面には「GAME SET」の文字が出てきた。私はまた負けた。


『あー、もう勝てない！休憩しよ！』


私がそう言ってコントローラーを床に置くと、研磨も置いた。


『なんかすっごい疲れた』


そう言って研磨のベッドに横たわると、ベッドから研磨の匂いがした。


『凄い研磨の匂いする…』

「あんま嗅がないでよ。恥ずかしい」


ベッドに寄りかかっている研磨は、そう言って顔を逸らし、食べかけだったアップルパイを1口食べた。

そして片方の髪を耳にかけた。
それは研磨が照れた時の仕草だった。


『何、照れてんの？』


上半身を起こし、研磨の肩に顔を乗せた。


「別に、照れてないから…」


そう言いつつも、研磨は耳まで赤く染まっていた。


『ダウト。耳真っ赤だよ』


そう笑って言うと、研磨は急に私の方を向いて、私と唇を重ねた。

そしてゆっくりと唇が離れる。


『今のは…どういう……』

「説明しなきゃ、分かんない？」


そう言って至近距離で私を見つめる研磨。
思わず私も見つめてしまった。

そしてゆっくり頷くと、今度はほんの少しだけ唇が触れた。


「俺、Aの事が好き」


緊張しているのか、研磨の声は震えていた。


『私も、好き』


静かにそう返した。




夏の夜。
2人きりの部屋。
それとほんの少しの甘い香り。


ーー

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