髪に触れる(岩泉一) ページ16
『ああぁ、もう無理〜!!』
「まだ15分しか経ってねぇべ」
テスト1週間前。部活は休みに入り、勉強が苦手な私は幼馴染である岩泉一を頼り、放課後の教室で勉強を教えて貰っていた。ちなみに及川徹は早く帰れと脅した。
なぜかって?
そりゃあ勿論、私がはじめちゃんのことが好きだから。2人きりになりたいじゃないですか。
『はじめちゃんはなんでそんな勉強出来るの?』
「はじめちゃんって呼ぶな」
『ごめんごめん!で、なんで?』
「別に、俺も勉強は出来ねぇよ」
はじめちゃんは教科書をめくりながらそう言った。私はペンを置いて頬杖をついた。
「俺は夢があるから頑張れるだけだ」
私はそう言うはじめちゃんを見つめた。
『夢?将来の夢的な?』
「まあな」
そう言って言葉を濁したはじめちゃんを私は怪しいと思いじっと見つめた。
「なんだよ」
『なんか怪しい』
「なんもねぇよ」
そう言ったはじめちゃんにふぅんとだけ返し、私は再び問題集とノートに向かうべく、ペンを握った。
「あ、ストップ」
はじめちゃんはそう言って私のペンを持った手に自分の手を覆い被せて動きを止めた。
『え、なに…』
「ここ、途中式違う」
私は照れてはじめちゃんの顔が見れなかった上に、説明も頭に入ってこなかった。
「…ってこと。分かったか?」
そう言って若干俯き気味だった私の顔を覗き込んで問いかけるはじめちゃん。目を泳がせながら頷くと、「よし、じゃあ次解いてみろ」と言って手を離した。
『はじめちゃんは、先生とか向いてそうだよね。今も教えるの上手だったし!』
「はあ?そうでもないべ」
はじめちゃんは訳が分からないという顔をしてそう言った。
暫く集中していたが、私は急にペンを置いた。
『ねえ、はじめくん。今言うことじゃないと思うんだけど、言ってもいい?』
「あ?なんだよ」
『私結構前からはじめくんのこと好きなんですよ』
「は…?」
はじめちゃんはきょとんとしていた。
まあそうなるだろう。
『急にごめんね。忘れていいよ』
「……俺のセリフ、取るなよ」
『えっ?』
今度は私がきょとんとしてしまった。
何が起きたのか分からなかった。
「俺の夢、お前を嫁に貰うことなんだよ」
顔が熱くなる感覚に陥った。
まさかはじめちゃんがそんなことを考えてるとは思ってなかったから。
「A、俺と付き合ってくれ」
『…もちろん』
2人だけの放課後。
はじめちゃんの手が私の髪に触れた。
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まる - 泡姫さん» お時間かかっても全然構いません…!!むしろリクエスト叶えていただけるだけですごく嬉しいです…!続編をお気に入り登録しておきます…!!!!!! (2月18日 15時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - まるさん» わー!リクエストありがとうございます!久しく書いていないため少しお時間頂いてしまうかもしれませんが、私なりに書かせていただきます!!現在こちらの作品は続編の方を更新する形になっておりますので、よろしければそちらをお気に入り登録してお待ちください! (2月18日 12時) (レス) id: 5951de0be4 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作者さんにリクエストが…。銀.島.結.で過去の辛かったことを銀が全部包み込む…みたいなお話を書けたりしますでしょうか…?(語彙力なくてすみません…) (2月18日 11時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジさん - 好きで愛してるわ作者さんじゃなくてさ、作者様じゃね?(は?何言ってやがるオレンジさんや) (2022年7月10日 21時) (レス) @page48 id: 0e3c42be20 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - 愛菜さん» そういう素直で分かりやすいお言葉が1番嬉しかったりします……今後も緩く書いていきますので時々キュンとしに来てください…!(ちなみに現在次話執筆中です…) (2021年11月6日 11時) (レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月1日 21時