やぶひかの真実2

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「ひかるっ！！」



遊園地の近くのベンチに影を見つけた。
子供のような、影。



近くまで行ったら、光だと分かった。

丸くなってちっちゃく俯いてる光。




俺は光に近づき、大声で光の名前を呼んだ。


光はさっきの格好のまま寒そうにしていた。



「や....ぶ...」


「ひかるっ！！！」

近づいて、光を抱き締めた。


やっと見つけた光は体が冷えていて氷のように冷たかった。


「やぶう...よかったぁ。もう会えないと思った。」



「ひかる...おまえ、こんなに冷たくなって...

電話にも全然でないし...。」



「だって...だって...お財布が、
どっかに落としちゃって、帰れなくて..

遊園地もどったら段々暗くなっちゃって...


携帯も、電池切れちゃったから、連絡できなくて....」


グスグス鼻をすする音が聞こえる。

「ひかる?」


「怖かったよぉ...。
一人で、電話も出来ないし、怖かった...。
怖かったぁっっよう...グスッ...。」


俺に会えて安心したのか、急に泣き出した光。

「やぶ、いま、ひとり?」


泣きべそをかいたまま、ガバッと俺の顔をみて言う光。

「うん?そうだけど?」


「そっかぁ...。

じゃあ、今はやぶを一人占め...できるね。」


ぎゅうっと、今度は光から抱き締められる。
一人占め...。


ああ、今日、伊野尾もいたもんな。


「やぶ、俺ね、いのちゃんとやぶが仲良くしてるの嫌だった...。
だから、いま、こうやってやぶと二人でいれるの嬉しい..」

ふにゃっと笑う笑顔の光。
目尻には涙が溜まったままで、微笑む光。


やべぇ。かわいい。

今まで感じたことのない感情。


暫くたっても俺を離してくれない光。



どれもこれも、いとおしかった。

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