花言葉 (ページ13)

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夏休みになってから内村くんと会うことは
ほぼ無かった。私はダンス部の文化祭公演に向けて
忙しかったし、彼も夏休みはコンサートがあるから忙しいんだ、と言っていた。

竜生も忙しそうだよ、とママも言ってた。

そういえば、8月の頭。
BSの番組にどうやらりゅうちゃんが出るらしいのよと
ってママが急いで録画してたっけ。
そっか、竜生はテレビにも出るのか。

てことは、内村くんも出てるのかな。

すごいなぁほんと。
2人とも手を伸ばそうと思えば届く存在なのに、

届かない場所にいるみたいで。不思議で仕方なかった。

それでも、内村くんからは毎日LINEはくるし
次の日仕事がない日は電話もかかってきた。

コンサートで忙しいらしくて、
そこに深田くんもいるよとか、とっても楽しいんだとか
自分のファンはそこまでいないけどとか、
いろんな話をしてくれて、私は聞くだけだった。

それから、私の文化祭の公演を見たいけれど
文化祭には参加できないから、残念だとか言ってた。

私もプロのアイドルに見にこられるのは恥ずかしいから
見にこなくていいよとか言っちゃったけど。

そんな夏休みが続いた、8月の終わりのことだった。

いつものように電話がかかってきた。

「もしもし？先輩？」

『もしもしー？』

「明日とかって暇だったりします？」

『明日？部活午前中だから終わったら暇だけど』

「何時くらいですか？」

『14:00とかかな』

「会えたりしますか？」

『うん･･･大丈夫だけど。』

「まじすか！」

『今日仕事は？』

「ないです！やっと！休みです！」

『そっか〜おつかれさまー！わかった！いいよ！部活終わったら連絡するんでいい？』

「まじですか！やばめっちゃうれしーーーー！」

『そんなに？』

「はい！じゃあ連絡待ってます」

そう言って内村くんは電話を切った。

多分、いや、多分だよ？
別に自分に自信がある訳では無いけど。

この子は多分自分のことが好きだ、と、

そう確信してしまった。

だって、あの日から毎日LINE来るし、
週一で電話もかかってくる。

学校ですれ違うと周りの人がいなければ
話しかけてくるし、周りに誰かいれば
目配せしてくる。

まってよ、相手はアイドルだよ？
そんなこと、そんなことあるのか。

どうしようこれが被害妄想だったら。
でもこれはこれで別になんの興味もありませんでした、
という方が罪ではないか？

そもそも。私は彼を好きなのか？

見えない答えが私を余計混乱させた。