君、僕。Ⅱ (ページ9)

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それからというもの、私をみかける度に
春野さん、いや、美雨は私に声をかけてくるようになった。なんなら、隣にいる姫野さんまで、私に手を振るようになってきた。本当にどういう魂胆なんだろう。

ある日の事だった。
なんとなく、最近読書にハマっていて
勉強をする気になれなかったから
図書室に通っていた。

もう、割とミステリー系は読み漁っていたので、
1番面白かった「むかし僕が死んだ家」を
手に取り、借りようとした。

カウンターに持っていこうとした時、そこに居たのは檜山くんだった。

『檜山くん』

檜「おーAじゃん」

すると檜山くんは私の手元に視線を落とした。

檜「あ、それ」

『え、ん？あ、これ？』

檜「いや、なんでもない」

『え、もしかして借りようとしてた？』

あーーって檜山くんは罰が悪そうな顔をした。

『やっぱり？いいよ！これ私二周目だから』

檜「いや、おれも二周目なんだよね」

『え？！そうなの？！？』

と思わず2人して吹き出してしまった。

檜「いやーーーこれ結構コアだから借りてるの俺くらいかと思ってた」

『えー！！本当にそれ、東野圭吾、結構映像化されてる作品あるけどこれ全然話題になってないもんね』

檜「そうなんだよ！俺的にはこれ結構面白いなーって思ってたのに」

『え、ちょっとこっち来て』

そう言って檜山くんを呼んだ。

『この中で二番目に好きなの指さして』

檜「おっけ、せーので行くよ」

「「せーの！」」

2人とも「同級生」を指さした。

これも同じなのか、と思い2人して笑う。

図書室で2人して声を出して笑っていたら
司書さんに注意されてしまった。

『これ、終わり方微妙だけどさ読んでいくうちに、紐解いていく感じがいいんだよね〜』

檜「え！めっちゃわかる！終わり方は、うーんって感じだけどめっちゃ面白い、高校生の話だし」

まさか、檜山くんとこんな共通点があったなんて
嬉しくて楽しくしてもうどうにかなりそうだった。

これって運命じゃない？と言いたくなるくらい
嬉しかった。

私は同級生を借りて、檜山くんはむかし僕が死んだ家を借りて私たちは図書室を後にした。