君、僕。Ⅱ (ページ14)

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14. ページ14

屋上の扉を開けると、深田と湧と内村がいた。
隠れて聞いていたらしい。

『ねえ、なにやってんの』

湧「すいませんでした」
内「ごめんなさい」
深「ごめん」

『ありえないんですけど』

深「軽率でした」

『もう、別にいいけど』

3人とも私に何も触れてはいけないと思ったのか
それ以上は何も言ってこなかった。

春野さんが改札で謝ってきたのも
檜山くんに謝るように言われたかららしい。

檜山くんなら、言いそうだよね。

前に、深田が言ってた。

「檜山くんは、噂に惑わされる人間も元々嫌いだし、人の悪口言うような人も嫌い。すごくいい人だから。間違ったことが嫌いだから」

「だから、檜山くんが春野美雨が好きなのも納得がいかないんだ」

って。

噂も、悪口も嫌いな檜山くんと、
噂と悪口でさんざん傷つけられた私。
噂と悪口で人を陥れた春野美雨。

悪口も噂も全部嫌い。

春野美雨が、檜山くんが絶対に嫌がることをしてまで
手に入れたかったものは、なんだろう？

檜山光成、だけが欲しかったのかな。

春野美雨が、私にブチ切れた朝のことを思い出す。

彼女は私の目を見て言った。

「やっと私の方だけを見てくれそうだったのに」

この言葉になんの意味があるのだろう、
檜山くんは、ずっと別の誰かを見ていたのだろうか、

春野さんと檜山くん。
学年でもお似合いだった2人。

SNSは幸せに溢れていたのに、
本当の春野美雨は全く幸せじゃなかったんじゃないか

そんなふうに感じられた。

朝の出来事があってから、私は全く授業に集中できなかった。