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「ただいま帰りました」




少女、Aが探偵社に訪れてから一時間が経った頃、漸く太宰と谷崎兄妹が帰社する。国木田はホッとすると同時に、与謝野女医なら尚良かったが…とも少し思った。谷崎兄妹の英語力が己より優れているのは確かだがAの云いたいことが凡て判るか微妙だったからだ。


あれ、敦君と鏡花ちゃんは?と問う谷崎に応接間だと告げるとお客様がいらしておられるのですわね!とナオミが嬉しそうに云った。如何したのかと聞くと丁度和菓子を購って帰ってきたのだと云いながら給湯室に紙袋を持って入ってしまった。




「お客さんが来ているというのに国木田君は新人二人に相手を頼んで自分は机作業(デスクワーク)かい?」


「その机作業すらやらない貴様に云われたくはなかったがな…!」


「冗談だって。で、何の依頼だったんだい?」


「判らん」


「ごめん、一寸耳が遠くなったみたいだ」




判らないッってどういうことですか?と一連の流れを見ていた谷崎が問うと国木田は言葉を詰まらせた。国木田の様子を見て太宰は珍しい…と見ているとふと国木田がちらちらと自分の机に目を向けているのに気が付く。


何かあるのかと国木田の視線を辿るとそこには走り書きの異国語表成る物が乱雑に置いてあった。几帳面な国木田が整頓していないことと、異国語の文字を見て太宰はピンと来る。




「若しかして、今来てるお客さんって日本人じゃない?」


「!良く判ったな、嗚呼、その通りだ」


「其れならボクとナオミで行ってきましょうか?」


「済まんな、助かる」




お安い御用ですよ。谷崎は爽やかな笑顔を見せて丁度給湯室から和菓子とお茶を持って出てきたナオミに事情を説明し、敦達のいる応接間へと向かった。


却説、谷崎兄妹が対応に向かってくれたから太宰が報告書を…と国木田が太宰を見るとそこには誰もいない。真逆、と国木田が谷崎兄妹が姿を消した応接間に近付くと中からは「何て可愛らしいお嬢さんなんだ!是非私と共に心中してはくれないだろうか!」と相棒の興奮した声が聴こえてきた。


数秒後、鈍い音が探偵社内に響くこととなるのは完全な余談だ。

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(プロフ) - とても面白いです!続き気になります!更新頑張ってください! (2018年7月1日 18時) (レス) id: 232d77c3ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑猫 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=92287f70ddf83f82a39ea7c9d0c473c7...  
作成日時:2018年6月10日 23時

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