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甘い【5】 ページ6

長い部活を終えて帰る。
もう暗くなり始めていて、いつも通りならお客さんはほとんど居ない時間だろう。雨も降り始めたし。

俺は何も考えず、お店の正面から入っていった。


「ただいま〜」


やべ、お客さんいるじゃん…。
そう思いながら座っているお客さんの方を見ると、そこに座っていたのは、制服に身を包んだ彼女だった。


「えっ…」

『あっ…』


俺が声をかけようとすると、彼女は慌てた様子で雨の中を走り去ってしまった。

あれ、音駒の制服だったよな……。


「あれ!あの子帰っちゃったの?」

「今さっき、走って出てった」

「あら〜…感想聞きそびれちゃったわ〜」


姉ちゃんはそう言って片付けを始めた。


「え!ネーチャンあの子と喋ったの!?」

「え?普通にお喋りしたわよ。ご近所さんなんだって!高校も…」

「え!!近所なの!?高校は!?」

「音駒だって言ってたわよ」


姉ちゃんはちょっと意地悪な笑い方をした。
俺が話す前に姉ちゃんが聞くとは…。


「あら、これあの子の忘れ物かしら」


姉ちゃんがそう言って手に取ったのはノートだった。


「あれ、このノート…」


そのノートはコミュ英のノートで、書かれていた名前は「芝山優生」だった。
このノート、芝山が学校のあの子に貸していた…。


「やっぱりあの子はあの子だ!!!」

「叫ばないの!」


俺はそのノートを握りしめて部屋に走った

荷物を投げ捨て、携帯を開き、芝山に連絡した。


【芝山がノート貸したの、何組の誰!】


さして待たずに返信が来た。


【俺と同じクラスの夏目Aっていうんだけど、分かる?】


夏目……聞いたことあるな…

あ!!!夏目!!!


【夏目ってあの夏目!?】

【多分その夏目さんだよ笑】


あの子が、あの子…。
俺は暫く頭の中がごちゃごちゃしていた。

よく似ているだけじゃなかった。
やっぱり彼女本人だった。

でも雰囲気が違うのは…どうして?



ーー

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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月8日 20時

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