甘い【3】 ページ4
あーあ、昨日は寝ちゃったなぁ。
気付いたらあの子帰っちゃってたし。
でもあのメモの字、凄いキレイだったなぁ…。
「灰羽君、聞いてる？」
「あ、ごめん芝山… で、なんだっけ？」
「はぁ、もう一回話すからね…。えっと…」
『あ！優生、こんなとこにいた！』
昼休み。
芝山が話し始めると、知らない女の子が教室に入ってきた。
『コミュ英のノート写し忘れたからノート借りていい？』
「うん！俺のロッカー入ってるから取っていいよ！」
あの子誰だろ。
どっかで見たことある気がするんだよな。
『ありがとー！灰羽くんごめんね、邪魔しちゃって！』
「あ、うん！大丈夫！」
『じゃあね！』
そうだ。
あの子、いつもお店に来る子にそっくりだ。
「ごめん芝山！その話またあとで！」
追いかければまだ間に合う。
そう思って俺は慌てて教室を出た。
あれ、どっちに行ったんだ。
彼女はお昼休みの人混みに紛れてしまった。
クラス聞けば良かった。
せめて名前ぐらい…
でも、人違いかな。
だって、いつも来る子は髪下ろしてて、メガネをかけてる。
今日のあの子は髪も結いてたしメガネもかけてなかった。
きっと人違いだ。
あれ？
なんか廊下が騒がしいな。
「また夏目ちゃんが１位だね。」
「ほんっと！天才には敵わないわ」
「あの子、留学勧められたんだって」
「うわぁ…流石天才」
夏目？誰だ？
あ、そういえば今日か。
定期テストの順位発表。
俺何位かな〜！
「えっ」
【100番以降は省略】
まず俺の名前はそこになかった。
「灰羽くん…名前あった？」
「……なかった」
「勉強会開こうか…」
「なんで…」
「なんとなくだよ」
何となくで開かれてたまるもんか！
でも俺もやばいのは分かってる。
「……勉強会やろう」
「もう1人呼ぼうかな…」
「もう1人って？」
「仲良いクラスメイト！そろそろ教室戻ろっか！」
今日は定休日だから、あの子には会えない。
明日も会えないし…
早く明後日になれば良いのに。
ーー
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作者名：泡姫 | 作成日時：2021年9月8日 20時
